「こんなこといいな」「できたらいいな」
マンションに暮らしていると、様々な要望が思い浮かぶでしょう。
これら前向きな話のほか、時には騒音や設備不具合の苦情・クレーム解消など、お困りごとの解決をお願いする時もあるはず。
そんなとき、管理会社や理事会・管理組合に解決をお願いすることもあるでしょう。
ですが、そこにはお願い事を通すコツがあるのをご存知ですか?
コレを知っているのと知らないとでは、同じ内容のお願い事でも、協力する/しないなどの判断や、また協力的か否かの対応も変わってきます。
今回の記事は『マンション理事会に自分の申入れを通すコツ』についてご紹介します。
はじめに
もしもし管理会社さん。あのね、1階の空いてるお庭にポピーを植えたいんだけど、いいかしら?
ポピーっすか? いやぁ~、空いてるところでも皆さんの共用ですから、個人で植えるのはさすがにムリっすねぇ
あらそう、残念ね・・・
いやぁ~私にゃどうとも。決まりは決まりなんで、すいません。
マンションに住んでいる中で、「こういうことをしてほしい」という要望が出てくることがあると思います。
その時、大抵のことは管理会社に連絡して相談するのがセオリーです。
ですが、例えば『植栽を入れ替えたい』『サークル活動の募集をしたい』などのお願い、『騒音苦情の相談』『ゴミ問題の相談』などの苦情申し入れなど、イレギュラーな相談をする際、こんなことを感じたことはありませんか?
- 自分の相談事が受け入れられるのか心配。
- 大した話し合いもされずボツになったりしないか。
- 話し合いされることもなく相談事自体を管理会社に握りつぶされやしないか。
こういったイレギュラーな申入れは、もちろん適うかどうかは分かりません。内容によっては通るものもありますし、通らずボツになることもあるでしょう。
ですが、ちゃんとした段取りと手順、少しのコツを踏まえれば、申入れ事項が通りやすくなることもあるんです。
長年マンション管理フロントの経験からして、この手順を踏んでいるのかいないのかの違いで、同じような相談事でも結果が違ってきたことが何度もありました。
同じお願い事をするにしても、叶った方が良いじゃないですか。
今回の記事は、10年以上管理業界に身を置く私が体験として身に付けた秘策をお教えします。
この記事はこんな人にオススメ
この記事は
- マンション生活で叶えたいお願い事を抱えているマンション居住者の方
- お願い事を受ける際に「こうした方が良い」とアドバイスをするマンション管理フロントの方
こんな方にオススメです。
- 自分の依頼事項が聞き入れられるようになる
- 手順を踏めば、依頼を受ける側のストレスが軽減される
この記事を読めば、依頼をする側は話が通りやすくなります。
一方依頼を受ける側も、「こういうふうに依頼を出してほしい」とアドバイスすることで、余計なストレスを受けることなく協議に臨めることでしょう。
それでは、どうぞ!
『相談事を通すコツ4選』の結論
簡単に結論をまとめると次のとおりです。
それでは内容について、細かく見ていきましょう。
相談事を通すコツ4選
管理会社や理事会に相談事をする際のコツをご紹介します。
要望は単純明快に
相談事を受ける際、それまでの経緯や思いの丈を併せて聞きます。
その際、ご本人の思いの強さが働くのか、個人的な感情や思い入れを混ぜておっしゃられることが多く、「結局何をしてほしいのか」というのがイマイチ伝わってこないことがあります。
色々言ってきたけど、結局何をしてほしいんだ・・・?
会話が終わった後、こう振り返ることもしばしば。
受け取る側の「聞く力」が求められるところではありますが、伝える側の「話す力」を高めると、より相手に自分の意志を伝えることができます。
- 【目的】何をしてほしいのか
- 【理由】そうして欲しい理由は何か
- 【将来像】それをすることでどんな利益があるか
相談する前、予めこの3つを自分の中で整理してから(できればメモを手元に置いて)相談することをお勧めします。
メモを手に話を進めれば、落ち着いて理路整然と話すことができるよ!
落ち着いて話すことで、相手も聞きやすいし、整然と話すことで、相手に自分の意志を正確に伝えることができるしね!
言葉だけじゃなく紙で出せ
管理会社に相談事をした際、管理会社の業務の範疇であれば、ワンストップで対応の是非の回答をもらえるでしょうが、マンションの管理関係に関わる場合、大抵は理事会の役員に報告し対応を協議するのが通例です。
その場合、アナタの相談事を管理会社が受け、管理会社が理事会に伝えるという伝言ゲームとなるわけですが、ここで問題が発生します。
いくら理路整然と分かりやすく話すことができ、相手(管理会社)に内容を理解してもらえたとしても、管理会社がアナタの言ったことを、ありのまま正確に理事会に伝えることができるでしょうか。
大まかな内容は伝えられたとしても、細部まで伝えることはできないでしょう。
というか、相手も人間ですから、そこまで内容を事細かに覚えているはずがありません。
やもすると、アナタは【目的】【理由】【将来像】をちゃんと伝えたにもかかわらず、管理会社は理事会にアナタの【目的】だけ伝えることしかせず、【理由】や【将来像】を無しにその相談事の是非が判断されるような事態になることも十分考えられます。
そんなことになれば、通る話も通りません。
ですので、こんなことにならないよう、必ず「紙(書面)」で申入れをしましょう。
そうすれば、アナタの申入れ内容は、正確に、ニュアンスを変えられることなく末端まで伝えられます。
そんなもんメンドくさい!やってられんわ!
代わりに管理会社、お前がやれ!
なんて思う方もいるでしょう。
ですが、目的(お願いごと)を達成したいのはアナタです。手間を欠いて希望が通らないなんて、自分が損するだけじゃないでしょうか。
管理会社に任せても、その管理会社はアナタの希望が適わなくても何の得も損もしないので、アナタのために頑張る理由がありません。そんな相手に自分の希望を託すのですか?
手間だと思うかもしれませんが、自分がしたい事を通そうというのなら、これくらいの手間は惜しまず行いましょう。
いきなり手紙を送っても、受け取り手は「なんだこりゃ?」と驚くだけだから、まずは電話で要望事項を簡単に伝えて、「詳しいことは手紙で」というふうに、段階を踏んでアプローチするのが良いよ。
そうすれば窓口の管理会社も心積もりができるものね。
あくまで「お願い」の心持ちで
様々な「お願いごと」があると思いますが、大原則があります。
人にお願いをするとき、『高圧的な態度で迫るか』『柔らかく相談するか』どっちの方が相談相手の心を掴んで話を進めやすいか、分かりますか?
そんなの、子供だって分かりますよね?
ですが、それを分かってない人が、ホントに意外なほど多いのです。(マジで)
オレが頼んでるのになぜやらないんだ!そんなこともできないのか!
こっちは金払ってる客だぞ!客が頼んでるのにできないのか!
と、『相手がやってくれるのが当然』とばかりに高圧的に迫る人が驚くほど多いです。
・・・この人マジでこれで社会人やれてるのか?
と思ってしまう人も中にはいます。(いやマジで)
「トラブル解決には管理会社・理事会に相談を」
WEBでの騒音トラブル解決法は、殆どこんな風に紹介されています。
しかしながら、かくいう管理会社・理事会は
- 実際にそのトラブルに関わっていない
- どれだけ困っているか体感的に理解できない
- そもそも個人間の問題で管理組合の問題ではない
という理由から『個人で解決する問題で、管理会社・理事会が関わる問題じゃない』として、消極的な立場をとることがあります。
マンションの居住者がこんなに困っているのに、手を貸さないとは何事だ!
それが管理会社か! それが理事会か!
と思われる方が多くいます。その気持ちは分からなくもありません。
しかしながら、管理組合(及び執行機関である理事会)は、大前提として、以下のようにな規定がされています。
第三条(区分所有者の団体)
引用:建物の区分所有等に関する法律(区分所有法) より
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理社を置くことができる。
第1条(目的)
この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。第6条(管理組合)
引用:マンション標準管理規約/国土交通省 より
区分所有者は、区分所有法第3条に定める建物並びにその施設及び付属施設の管理を行うための団体として、第1条に定める目的を達成するため、区分所有者全員をもって○○マンション管理組合(以下「管理組合」という。)を構成する。
このように、管理組合はあくまで「全員の共同利益の増進」「建物・施設の管理」を行うための団体として成立しており、いわゆる住人のお困りごと相談所ではありません。
さらに言えば、管理会社も、管理組合が行う「全員の共同利益の増進」「建物・施設の管理」の代わりに業務を行っているにすぎませんので、管理組合(理事会)が行うことではないことを、ましてや管理会社が行える範疇ではないということとなります。
つまり、『個人的なトラブル相談は管理組合(理事会)や管理会社の本来の業務じゃない』ということです。
よくこんな声を聞きます。
住人(自分)がこんなに困っているのに、手を貸さないとは何事だ!
それが管理会社か! それが理事会か!
こんな批判は、前述の理屈に照らし合わせると全くの的外れということとなります。
ラーメン屋に行ってるのに、「同じ麺類なんだから素麺を出せ!」と、自分の都合のいい解釈をして見当違いの要求をしているのと同じです。
自分の困りごとを何とかしたいという気持ちでいっぱいなのはよく分かります。
ですが、相手の都合や自分と相手の立場や役割を考えず、「やってもらって当たり前」「自分の思ったように動かない相手が悪い」という態度で相手に申し入れても、聞き入れられるわけがありません。
聞き入れられたとしても、それは単なるアナタの『パワハラ』の成果で、相手の好意によるものではありません。
『理事会や管理会社は、個人的な相談事を受け付けるところじゃない』という前提があります。その前提の上で個人的な相談事をするのであれば、相手の気持ちを硬化させるような態度を取らず、「こちらがお願いしている」というスタンスでアプローチをするのが無難です。
あくまで目的は「自分の要望をかなえること」です。
その目的に則さない行いは極力避けるのが賢明ではないでしょうか。
個人的な要望以外にも、苦情申し立てや業務の依頼でも同じことだよ!
「相談してる相手も同じ人間」って事を忘れちゃダメね
トラブル解決のお願いは冷静に
騒音、振動、ゴミ問題、自転車問題・・・。
マンションには様々な問題があり、個人で解決するには手に余ることが多々あります。
その解決を管理会社や理事会にお願いする際にも、やることは一緒です。
前述に紹介したとおり、冷静に、理路整然と相談し、紙(書面)で窮状を訴え、理事会や管理会社に解決の協力を仰ぐ。このやり方を徹底しましょう。
しかしトラブル系は、自分自身が差し迫った被害を負っている(もしくは負いそう)な状態ですから、精神的に起こまれ切羽詰まった状態になりますから、感情的になりがちです。
オレが頼んでるのになぜやらないんだ!そんなこともできないのか!
こっちは金払ってる客だぞ!客が頼んでるのにできないのか!
こんな怒髪天を衝くような対応をすると元も子もありません。
お気持ちは察しますが、トラブル解決系の相談は冷静に。
こんなに怒鳴られたら、同情しようもできないのが人の性よね
こんなことしたら、相談相手も呆れて事務的にしか動いてくれなくなるよ!
そうなったら結局誰が損するか、それぐらい考えられるくらいには冷静になろうね!
まとめ!
ここまでの内容をまとめてみましょう。『相談事を通すコツ4選』の結論は次のとおりです
どんな相談事でも、「相談相手も人間」ということを忘れないこと!
冷静さと柔軟さを心掛ければ、自ずと道は開くものよ!
ではこのへんで。かわぐちろろでした。
かわぐちろろ の【ろろ余談】
きのことたけのこ、どちらがいいかと相談されたら、迷わずたけのこを選びます。