ゴミ置場が整理されずに汚い。
いつも“むぁっ”とした生温かい空気が立ち込めてる。
臭いが酷くて中に居られない。
コバエやゴキブリが出てイヤだ。
この記事では、マンションのゴミ置場にあるあるの「くさい」「汚い」「気分が悪い」のゴミ3Kの解決法について紹介しています。
前回の記事では、ゴミ置場を直接管理しているマンション管理員・管理会社がメンテナンスする際のコツ、ポイントを『解決策6選』として具体案を紹介しました。
(前回の記事は▼コチラ▼)
この記事では、居住者側にスポットを当て、ゴミ置場にまつわるルール作りについてご紹介します。
私が10年以上管理業界に身を置き、色んなマンションのゴミ問題に取り組んできた経験と、実際に解決に結びついた事例を交えて紹介しますので、きっとアナタの悩みにお答えできるんじゃないかと思います。
この記事はこんな人にオススメ
この記事は
- 毎朝ゴミ置場の扉を開けるたびに気分がヘコむ居住者の方
- ゴミ置場の整理に悩んでいる管理員
- ゴミのマナー改善がうまくいかない管理会社フロントの方
こんな方にオススメです。
- ゴミ問題3K(汚い・くさい・気分悪い)を解決できる
- ゴミを捨てるだけで気分が滅入る、なんてことがなくなる
- ゴミ問題を通して居住者のモラル・マナーの向上が図れる
この記事を読めば、ゴミ問題は解消されて生活環境が良くなるほか、この問題解決を通じて居住者のモラルやマナーの向上が図れ、他の諸問題(自転車マナーや音問題など)にも良い影響を与えることができるでしょう。
それでは、どうぞ!
『ゴミ問題3K』の結論
簡単に結論をまとめると次のとおりです。
前半記事では、主に要点1の管理員・管理会社が行う『メンテ術』を中心にご紹介しました。
この記事では要点2~6についてご紹介します。
ゴミ置場の3K問題の解決法
管理員の頑張りだけじゃ解決しない
ゴミ置場が荒れているマンションでは、こんな声を耳にします。
マンションのゴミ整理は管理員の仕事だ!
だからゴミ置場がなっとらんのは管理員が怠けているからだ!
確かにゴミ置場の整理や回収場所への移動は管理員の業務です。
ですが、管理員は朝から晩まで毎日勤務しているわけではなく、殆どのマンションでは朝(午前7、8時頃)から夕方4、5時頃(小規模マンションは午前中のみ)が一般的。
当然夜中にいるわけもなく、日中でも外構や館内の清掃・巡回・点検の立会や居住者対応・事務処理などがあり、ゴミ置場にかかりきりになることなどできません。
かくいうゴミを捨てる居住者の方に、夜中にゴミを捨てに来る人や回収曜日に関わらず色んなゴミを捨てに来る人などいたら、翌朝ゴミ置場の中がゴチャゴチャになってて当たり前。
それを全て「管理員の怠慢だ」と責任追及するのは、さすがにムリがありますよね。
整理するのは管理員の仕事ですが、やはり限度がありますし、「整理する人間がいるからどんなゴミ出しの仕方でもいい」という考えは違うと思います。
ゴミを捨てるのは居住者です。
その居住者が快適な生活環境を整えたいというのなら、まず自分たちができることから始め、できないこと・難しいことを管理員に補助してもらうという考え方が、ことゴミ問題の解決においてとても重要なことです。
そのことを認識した上、「良くするために、自分たちはどうあるべきか」ということを考えていきましょう。
管理員・管理会社でもできないことはあるよ!
管理員はアナタのお母さんじゃない!
理解と協力を得られてようやくスタートライン
ゴミ問題の解決には、居住者のマナー改善が必須です。
逆に言えば、居住者側のゴミ捨てマナーが改善すれば、ゴミ問題はほぼ解決すると言っても過言ではありません。
考えてみてください。
ゴミの匂い。ゴミの整理不十分。害虫の発生。庫内の空気の汚染。
これらがなぜ起こっているかというと、「必要以上にゴミが溜まっている」ということに他なりません。
必要以上にゴミが溜まるのは何故か。
それはゴミ置場の許容量や設備の問題以前に、捨てる側にそもそもの原因があったりしませんか?
- 回収日を無視して捨てたら、回収日までずっと残置となる。
- 決まった位置に捨てないと、ゴミ置場は乱雑になる。
- 分別ができてないと、回収されずに残される。
「くさい」「きたない」「気分悪い」の『ゴミ3K』 は、これら「ゴミ捨て方法の不節制」が元で発生します。(残置されたゴミで悪臭が籠る。虫が湧く。回収されないゴミが溜まりゴミ置場が整理し辛くなり乱雑化。など)
逆に言えば、これら「ゴミ捨て方法の不節制」さえなければ、ゴミ3Kは解決するというわけです。
では、どうすればゴミ捨てに対する居住者のマナーを改善できるのか。
それは、ゴミ置場をきれいにするための「ルール」を作ること。
そして、そのルールを守ること。
加えて、そのルールを『継続して』『全員に』守らせること。
これに他なりません。
- ルールがないなら、ルールを作る。
- そのルールが守られないなら、守らせるよう啓発する。
- それでも守られないなら、守らせるようなルールを作る。
マンションではこのような基本ルーチンでマナー改善を図っていくのが一般的です。
ゴミ3Kを防ぐ基本ルール
それでは、マナー改善のための具体的なルールについてご紹介します。
ルール1:ゴミ出しは回収日の当日朝限定
回収曜日関係なく、のべつ幕無しに色んなゴミを捨てられたら、ゴミ回収が来るまでそのゴミを置いておかなければなりません。
そうなると、ゴミの匂いが籠るし、スペースが圧迫されゴミ置場の整理に支障を来すことに繋がります。
そんなことにならないよう『ゴミ出しは、回収曜日の当日朝のみ』というルールを作り、ゴミ置場に少しでもゴミが滞留しないような働きかけをしてみましょう。
ちなみに、ゴミ出しのタイミングについて、こんな声をよく耳にします。
ゴミ置場があるマンションはいつでも好きな時にゴミが捨てられるって、入居前に不動産屋さんから聞いたわ。
一戸建てだと町内会やご近所の目が煩わしくて自由にゴミが出せないから、マンションって便利よね。
私は声を大にして言いたい。不動産業者よ。
適当な事を言うな
「ゴミをゴミ置場に捨てに行くタイミングについてルール化されてない」というのなら分かります。
ですが、『24時間365日、いつでもゴミを出せる』というルールを定めている(もしくはマンション竣工時からそのルールとなっている)マンションは、(私の知る限り)ありません。
マンション竣工時に組合員に配付される入居のしおりには、大抵の場合「家庭で出たゴミは、ゴミの回収曜日に沿ってゴミ置場へ運んでください」と書かれているのが一般的で、あえて「いつでもゴミ置場へ家庭ゴミを捨てられます」なんて書かれたものは見たことありません。
もしゴミ出しのタイミングがルール化されていないなら、このタイミングで「ゴミ出しは回収日当日の朝」に決め、「いつでもゴミを出されちゃゴミ置場が荒れる」ということをしっかり周知することをお勧めします。
急に生活ルールに縛りを加えると、居住者から反発があるかもしれないよ!
理解と協力を得るために、その必要性や理由を伝える努力をしよう!
時間がかかるだろうけど、粘り強く取り組もうね!
ルール2:ゴミの『捨て方』を守らせよう
ものすごく当たり前のことですが、「ゴミの捨て方」を守らせることがゴミ置場3Kを防止するのに重要です。
例えば―――
- ゴミ袋の口はしっかり結ぶ
- 生ゴミは水気をしっかり取る
- ビン缶は中をしっかりすすぐ
- ペットボトルは蓋とラベルを外して潰す
- ダンボールは折り畳んでビニール紐で縛る
- 雑誌類や古紙はしっかり紐で縛る
- 粗大ゴミ・家電は自分で回収業者に頼んで処分する
- 大型ゴミを出す際は事前に管理員に相談する
こんな具合に、注意すべき事を具体的に書いて、ゴミの捨て方を守るよう周知しましょう。
当たり前のことですが、できていない人が本当に多いです。
このくらい、良いんじゃね?
と思う人がいるのでしょうが、一人いれば二人となり、二人いれば三人になる、というのが人の世の常。
この辺りは居住者のモラルに関わることになり、居住者全員にルールを守らせるにはかなり苦労しますが、そこは粘り強く対応していきましょう。
特に粗大ゴミ、大型ゴミを出す際は注意!
処分シールを貼らずに勝手にゴミに出して放置する人が多いから注意してね!
ルール3:ゴミの置く位置を守らせよう
大抵のゴミ置場では、可燃ゴミ、不燃ゴミ、ビン缶類、ダンボール類など、種類によって置き場所が決まっているのが通例です。
ですが、不燃ゴミの位置に可燃ゴミがあったり、ダンボールが不燃ゴミの位置にあったりすると、整然としたゴミ置場の見栄えが悪くなり、心理的に「テキトーでいいや」と気が緩み、余計にゴミ置場が荒れる要因になりますし、回収日にゴミ出しする管理員に余計な手間をかけることとなります。
でっかく『可燃ゴミはココ!』ってな表示を付けてるゴミ置場をよく見るけど、実はゴミの置き場所を守らせる工夫の一つなんだよ!
啓発活動は時間をかけてコツコツと
『みんなの快適な生活のため、ゴミ出しルールを守ろう!』
こんな案内を1枚作って配付して、全員守ってくれるでしょうか。
マンションライフへの意識の高い人、案内が作られ配付された背景を汲んだ人、心当たりのある人なら効果はあるでしょう。
ですが、ゴミの捨て方が悪い人は大抵モラルの低い人です。
そんな人は、大抵の場合、注意書きを見ても気にも留めずゴミと一緒に捨てるかそもそも見ないかのどちらかで、なかなか注意が届かないことが多いです。
そういう輩を含め居住者全員にルールを守らせないと、ゴミ置場の3K問題を解決することはできません。
たった一度の案内では効果が薄いですので、時間がかかるかもしれませんが、「総会の時にアナウンスする」「図柄を入れて分かりやすい案内を作る」など、粘り強く何度も案内を重ね、啓発活動に取り組みましょう。
何度も案内を重ねれば、理解してくれる人も増えていくよ
功を急いて「直接注意」なんてしたら逆効果になることもあるから注意してね!
時間がかかるけど諦めないで!
ゴミ出し違反者のペナルティ
何度も啓発活動を行っても、どうしてもルールを守らない人がいた場合どうするか。
悩ましいところではありますが、ルールを守らせるために『違反者へのペナルティ』を課す方法もあります。
ルールを守らせるため、罰則などのペナルティ(防犯カメラで違反者特定、違反ゴミを掲示板で晒し上げ等)のルールを作る方法が一般的に挙げられます。
ですが大抵の場合、ルールだけ作って実行しない『威嚇』に留まるところが殆どです。
中にはルールを威嚇に留まらず実際に行動に移す強硬派のマンションもありますが、居住者間の不和、トラブルの原因にもなりかねず、本来の目的である「ルールを守らせるためのルール」が達成されないリスクをはらんでいます。
『罰則ルール』は、あくまで方法論として挙げられますが、実際にルール化するかどうかは、マンションの実情、居住者感情を十分考慮したうえで検討する必要があるでしょう。
違反者へのペナルティは、あくまで『ルールを守らせるための措置』であることを忘れちゃだめだよ!
ゴミ出しルールは「本人のモラル」で成り立っているから、過度なペナルティは逆効果になるリスクがあることを十分に踏まえたうえでルール作りしようね!
まとめ!
ここまでの内容をまとめてみましょう。
『ゴミ置場の3K問題解決』についての結論は次のとおりです。
相手のモラルに訴えていかないと解決しないゴミ問題。なかなか一朝一夕にはいきません。
ですが、これを解決できれば、そのマンションは「居住者モラルを改善できる」という証にもなります。
そうなれば、騒音、自転車問題ほか、あらゆる難解な居住者トラブルを解決できるという一筋の希望にもなるでしょう。
「暮らしやすさ」はマンションの『価値』にも繋がります。
マンションの価値向上の取り組みとして、この機会にチャレンジしてはいかがでしょうか。
ではこのへんで。かわぐちろろでした。
かわぐちろろ の【ろろ余談】
人の善意に訴えるモラル改善の啓発活動は、まさに「北風と太陽」
強硬路線は実を結ばない良い一例です