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【実例紹介】マンション自転車問題解決!お金をかけないレンタサイクル運用方法はコレだ!

デコレーション自転車

以前の記事では、「自転車置場の満車問題」の解決策として挙げた『シェアサイクル』『レンタサイクル』について紹介しました。

この記事では―――

そんな金どこにあるんだよ―――ッ!!

――っと叫びたくなる人のために、「お金を掛けないレンタサイクル運用ノウハウ」について、具体例を交えてご紹介します。

(※以前の記事は▼コチラ▼)

シェアサイクルの輪
【満車問題解決!】マンション自転車置場にシェアサイクル・レンタサイクルを導入しよう「自転車置場の満車問題」の解決策として挙げた『シェアサイクル』『レンタサイクル』について、その具体例や運用方法についてご紹介します。...

この記事はこんな人にオススメ

この記事では――

  • 自転車置場の整理がうまくいかず、まだ空き不足に悩まされているマンション居住者の方。
  • 「いつになったら空きが出るんだ!」と居住者からの不毛なクレームに悩まれている管理会社のフロント担当の方
  • 空き区画が出た際の抽選会で、血眼になってがっつく居住者に辟易しているマンション理事会役員の方々。

こんな方にオススメです。

  • 自転車の満車問題に悩まなくて済むようになる
  • いつもゴチャついていた自転車置場がすっきりして気分もスッキリ
  • 空き区画が出るたびに抽選会に駆り出されなくて済む

この記事を読めば、アナタから自転車の満車、「空きが出ない」という不毛なクレーム、抽選会の開催の手間から解放されることになるでしょう。

それでは、どうぞ!

『お金をかけないレンタサイクルの運用』の結論

前回の記事『シェアサイクル・レンタサイクルの導入』では、このような内容をお伝えしました。

  1. シェアサイクルは、提供場所が近くに無いと、能動的な誘致は困難。
  2. レンタサイクルは、マンション単体で導入することができるので、シェアサイクルの見込みが無ければレンタサイクル導入を検討すべし。
  3. レンタサイクルは『手間』『費用』が双極関係

この記事「お金をかけないレンタサイクル運用法」の要点は次のとおりです。

  1. 管理5項目に当てはめて運用方法を考えよう。
  2. 色んな意味で「割り切り」が必要。自主管理に完璧を求め過ぎるな
  3. 『破損・汚損・紛失』は危険負担として割り切ろう。
  4. 『ケガや事故は自己責任』ということを周知しよう。

それでは内容について、細かく見ていきましょう。

レンタサイクルの自主管理【実例紹介】

レンタサイクルの自主管理なんて、私たちにできるの?

この疑問にお答えします。

「何をどう管理するか」の管理5項目

「レンタサイクルを管理する」といっても、いったい何を管理するのか。

漠然と「受付して~~、鍵を保管して~~~、自転車を整備して~~」と、なんとなく必要な要素を挙げても、物事は上手く行きません。

物品を管理する上で必要な要素は『保管』『運用』『保守』『リスク対応』『責任区分』を明確化し、それを管理したいモノに当てはめて考えていく必要があります。

これを『管理5項目』とでも呼びましょうか。

レンタサイクルに管理5項目をあてはめる

こと『レンタサイクル』を管理する上で、上記の管理5項目をあてはめると、次のとおりになります。

【保管】

  1. レンタサイクル用の自転車をどこから取り寄せるか。
  2. レンタサイクルをどの場所に置くか。
  3. 人の導線、避難経路、建物設備保守の阻害にならないか
  4. (屋根なしの外構など)著しく車両を劣化させる場所ではないか
  5. 運用上使いやすい場所か
  6. 窃盗・盗難されやすい場所ではないか
  7. 車やバイクなどを破損させやすい場所ではないか
  8. 通行人にけがを負わせるような場所ではないか

【運用】

  1. 自転車の鍵(電動アシストの場合はバッテリー)をどこに保管するか。
  2. 鍵の保管場所は使用希望者が手に入れやすい場所にあるか。
  3. 鍵の受け渡し、返却はどのように行うか。
  4. 使用は予約制か。先着制か。
  5. 予約制の場合、受付はどこで、どのように行うか。
  6. 予約制の場合、どのように鍵の授受を正確に行うか。
  7. 使用料を取るか。金額は回数制か、時間制か。
  8. 使用料を取る場合、誰がどのように払うか。
  9. 支払った使用料を着服されないか。
  10. 金額はいくらにするか。

【保守】

  1. 自転車が破損(パンク、スポークのゆがみなど)が発生した場合、誰がどのように補修するか。
  2. 補修費用は誰が拠出するか。
  3. 自転車が破損した際、管理者にどのように連絡するか。
  4. 車体の汚れは誰が清掃するのか。
  5. 日常的な点検(タイヤの空気圧、ブレーキの利き具合、チェーンの弛みetc)は誰が行うのか。

【リスク対応】

  1. 自転車の搭乗者が事故を起こした場合、誰の責任か。
  2. 事故の原因がレンタサイクルの整備不良だった場合、誰の責任か。
  3. 自転車本体や自転車鍵を紛失した場合、誰がどのように責任を取るのか。
  4. 自転車所有者・管理者側の危険負担軽減のため、搭乗者側に求めることはあるか。
  5. 破損・汚損・紛失等が発生したが、その当事者が誰か特定できなかった場合、自転車の弁済(補修や再購入)は誰が行うか。

【責任区分

  1. 自転車の所有者は誰か。
  2. 日常の保管・運用・保守等を行う管理者の責任範囲はどこまでか
  3. 搭乗者の責任範囲はどこまでか。

個別のシチュエーションをバラバラに考えるんじゃなくて、「保管」「運用」「保守」というふうに、大きなカテゴリに分けて考えていくと、物事を整理できて全体の運用を検討しやすくなるよ。

項目自体はたくさんあるけど、あてはめていけば結構すんなり決められるよ

レンタサイクル自主管理の実例紹介

私が実際に携わり、レンタサイクルの自主管理を行っているマンションにおいて、前述の『レンタサイクル管理5項目』をどのようにあてはめているか、その実例をご紹介します。

【保管】

  1. レンタサイクル用の自転車をどこから取り寄せるか。
    :近くのサイクルショップで安いママチャリを購入。
    :幅広い年代が使え汎用性があり、破損・盗難に遭っても大した出費にならないとの判断。
    :電動サイクル付き/キャリー付自転車は破損・盗難時のダメージがでかいので却下。
  2. レンタサイクルをどの場所に置くか。
    :既存の自転車置場の空き区画を専用レーンとして使用。
  3. 人の導線、避難経路、建物設備保守の阻害にならないか
    :既存の自転車区画のため問題ない。
  4. (屋根なしの外構など)著しく車両を劣化させる場所ではないか
    :既存の自転車区画のため問題ない。
  5. 運用上使いやすい場所か
    :既存の自転車区画のため問題ない。
  6. 窃盗・盗難されやすい場所ではないか
    :既存の自転車区画のため問題ない。
  7. 車やバイクなどを破損させやすい場所ではないか
    :既存の自転車区画のため問題ない。
  8. 通行人にけがを負わせるような場所ではないか
    :既存の自転車区画のため問題ない。

【運用】

  1. 自転車の鍵(電動アシストの場合はバッテリー)をどこに保管するか。
    :管理事務室で保管。受け渡しは管理員から手渡し。
    :管理員の勤務時間内しか使えないが、誰でも自由に使えると紛失リスクがあるため、『管理員勤務時間外はレンタサイクルを使えない』と割り切ることとした。
  2. 鍵の保管場所は使用希望者が手に入れやすい場所にあるか。
    :前述①と同じ。
  3. 鍵の受け渡し、返却はどのように行うか。
    :基本受取・返却は管理員から手渡し。
    :返却時に管理員が不在だった場合、管理室ポストへ返却。
  4. 使用は予約制か。先着制か。
    :先着制。予約制だとブッキングや受付ミスが生じる恐れがあるため、『先に使われてれば諦める』という制度で割り切ることとした。
  5. 予約制の場合、受付はどこで、どのように行うか。
    :前述④のとおり先着制のため予約は受け付けない。
  6. 予約制の場合、どのように鍵の授受を正確に行うか。
    前述④のとおり先着制のため予約は受け付けない
  7. 使用料を取るか。金額は回数制か、時間制か。
    :使用料は無料。お金を取っても微々たるものなうえ、「タダ乗り」「滞納」「金銭着服」のリスクを抱えてまで小銭を稼ぐメリットは無いとの判断。
  8. 使用料を取る場合、誰がどのように払うか。
    :前述⑦のとおり、使用料はとらない。
  9. 支払った使用料を着服されないか。
    前述⑦のとおり、金銭管理の手間やリスクを考え使用料はとらない
  10. 金額はいくらにするか。
    前述⑦のとおり、使用料はとらない

【保守】

  1. 自転車が破損(パンク、スポークのゆがみなど)が発生した場合、誰がどのように補修するか。
    :自転車修理は管理会社側の判断で行えることとし報告は事後で良し
  2. 補修費用は誰が拠出するか。
    :管理組合の管理費会計から拠出する。
  3. 自転車が破損した際、管理者にどのように連絡するか。
    :使用者が見つけたら管理員・管理会社に報告。
  4. 車体の汚れは誰が清掃するのか。
    :管理員が簡単な拭き掃除をする。1ヶ月に1回程度で良い。
  5. 日常的な点検(タイヤの空気圧、ブレーキの利き具合、チェーンの弛みetc)は誰が行うのか。
    :前述⑤で管理員の清掃時に簡単なチェックをする。

【リスク対応】

  1. 自転車の搭乗者が事故を起こした場合、誰の責任か。
    :搭乗者の責任。
  2. 事故の原因がレンタサイクルの整備不良だった場合、誰の責任か。
    :原因が車両が整備不良だったとしても、搭乗前に確認しなかった搭乗者の責任。
  3. 自転車本体や自転車鍵を紛失した場合、誰がどのように責任を取るのか。
    :搭乗者の責任。搭乗者が分かり次第弁償してもらう。
  4. 自転車所有者・管理者側の危険負担軽減のため、搭乗者側に求めることはあるか。
    :レンタサイクル運用細則を制定。管理組合は一切責任を取らないことを明文化。
  5. 破損・汚損・紛失等が発生したが、その当事者が誰か特定できなかった場合、自転車の弁済(補修や再購入)は誰が行うか。
    :責任の所在が明確化できないため、所有者責任に帰結し管理組合(組合員の全員)が補填する。
    :そうでもしないと、いつまでたっても解決しないため。

【責任区分

  1. 自転車の所有者は誰か。
    :管理組合の所有物。
  2. 日常の保管・運用・保守等を行う管理者の責任範囲はどこまでか。
    :実態として物品の管理は管理会社が行うが、運用保守等の面で管理会社は免責となる。
  3. 搭乗者の責任範囲はどこまでか。
    :使用開始~返却までに発生した破損・汚損・紛失・賠償責任の一切。

このようなルールで、実際にレンタサイクルを自主管理で運用しています。

実際にマンションで採用しているルールだよ!

よかったら参考にしてね!

『破損・汚損・紛失』は危険負担として割り切ろう

盗まれたり無くしたりしたらどうするんだ?

レンタサイクルを導入しようとする際、決まってこういう意見が出ます。

レンタサイクルの場合、その責任は「借主」にあるのか、持ち主の「管理組合」にあるのか、責任の所在がハッキリしないことと、私物ではなく皆が使う『共用物』を棄損させることへの抵抗感が、こういった意見が出る背景にあると思います。

自分の自転車だろうが、レンタサイクル用の自転車だろうが、使っていれば傷も付けるし盗まれたり無くしもします。それはしょうがないことです

破損や紛失を未然に防ぐことはできません。(できればみんなやってます。)

防ぐことができないことを「起こるのが嫌だ」と言われたら、「レンタサイクルなんてやらなきゃいいじゃん」という選択肢しか残りません。これでは本末転倒です。

防ぐことができないのなら、起こることを想定した上で実施する(危険負担)と割り切って実施するのも一つの考え方ではないでしょうか。

もちろん、無くした場合、破損させた場合の責任の所在は明確にしておくことが前提だよ!

そのためには『誰が何の自転車を使ったか』という最低限の管理が必要となるね!

『ケガや事故は自己責任』ということを周知しよう

レンタサイクルに載ってる最中に事故に遭ったら誰が責任とるんだ?

当たり前ですが、自転車に乗ってるときに事故に遭ったら、その責任は「自転車に乗ってる人」の責任です。

例え持ち主が管理組合でも、その責任を管理組合に転嫁させることは(特殊な事情が無い限り)できません。

ですが、いざ事故が起こった場合、使っていた車両が「借り物」だったら、

オレはこのレンタサイクルに載ってて事故に遭ったんだ!
このレンタサイクルが悪いんだ!

という面倒くさい輩が出てこないとも限りません。

万が一にもこんなことが起こらないように

  1. レンタサイクルは、自己の責任において使用すること。
  2. レンタサイクル使用時は、車両が適正に整備されているか使用者自らが搭乗前に確認した上で使用すること。
  3. 事故等が発生しても、管理組合は一切責任を取らない

このようなルールをあらかじめ定めましょう。

そして、その内容を全戸配付+レンタサイクル保管場所の見えやすい場所に掲示するなどして告知することをお勧めします。

自分の責任でレンタサイクルを使ったんだから、自己があっても自転車のせいにはできないよね!

このルールは決して珍しいものじゃないよ。駐車場の契約書や使用細則にも同じようなルールがあるから、時間があったら自分のマンションのもチェックしてみてね!

いろんなことに「割り切り」が必要。最初から完璧を求めるな。

無料じゃなくて、どうせならお金取った方が良いんじゃない?

24時間いつでも使えるようにしたいわ

盗まれたり無くしたりしたらどうするんだ?

料金取った方が良い。いつでも使えなきゃいやだ。

このように、レンタサイクル一つとってもいろんな意見が出てくると思いますし、仰る気持ちは分かります。

「どうせならこうあってほしい」「こうなったらどうするんだ」と、考えれば考えるほど、対策や運用案を突き詰めて検討しなければいけません。

ですが、世の中完璧はありません。

「どうせならこうあってほしい」「こうなったらどうするんだ」という希望はあれど、全てかなえることなど不可能です。

お金(使用料)を取れば確かに少しは管理組合の財政は潤います。

ですが、逆にお金を取るルールにすれば

  • ちゃんと公平に全ての使用者から徴収できるか
  • 滞納者から督促して回収できるか
  • だれが督促するか
  • 出納処理はきちんとできるか
  • 金銭の紛失(もしくは横領)が起こらない運用か

など、対応しなければならないことが山のように出てきます。

24時間使えるようにしようにも、

  • 鍵の管理はどうやって行うのか
  • 紛失チェックを誰がどのように行うのか
  • 紛失時の後追いができるのか
  • マンション外の第三者に使用されないか

なども考えないといけません。

アレもコレもとやりたいことを満たそうと思うと、導入自体ができなくなってしまいます。

それでは元も子もありませんので、どこかで割り切りが必要です

まずは試験運用。そこから改善点を少しずつ直していく、という方法で進めていくことをお勧めします。

考えすぎたら「沼にはまって結局やらない」ってなるのがオチだよ!

大前提が「レンタサイクルで自転車置場を快適に!」っていう目的があることを忘れないようにね!

まとめ!

ここまでの内容をまとめてみましょう。

レンタサイクルの具体的な運用方法については次のとおりです。

  1. 管理5項目に当てはめて運用方法を考えよう。
  2. 色んな意味で「割り切り」が必要。自主管理に完璧を求め過ぎるな
  3. 『破損・汚損・紛失』は危険負担として割り切ろう。
  4. 『ケガや事故は自己責任』ということを周知しよう。

キーポイントは『割り切り』『まずは試験運用』ってことかな。

お試しでやってみて、やり辛い点を改善してく、ってなカンジで進めると、結構うまくいくよ。頑張ってね。

ではこのへんで。かわぐちろろでした。

かわぐちろろ の【ろろ余談】

かわぐちろろ

レンタサイクル用の自転車は、下手に凝って電動アシスト付きなんて買うと、無くしたり壊したりしたら目も当てられません。

無くしても対して痛手にならない15,000円位のママチャリをお勧めします。
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