かわぐちろろのロロブログ
マンション管理とアレやコレ
マンション管理ノウハウ

【基本のキ】マンション理事会役員について分かりやすく解説。役職ごとのやるべき事とは?

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はじめに

管理会社フロント

マンションの次の役員、アナタに決まりました!
さっそく来月マンションの総会があるんで、よろしくお願いしまーす!

居住者さん

えっ……? ちょ、待って! 私がマンションの役員?
そんなこと聞いてないんだけど・・・

管理会社フロント

えっ? マンションの総会資料に書いてあるじゃないスか。
見てないんスか? ちゃんと輪番で回ってくるって書いてありますよね。

居住者さん

困ったわぁ~。今までやったこと無いし、お断りできない?

管理会社フロント

無理っす。できないっす! 皆さんやってるんで、よろしくお願いしまーす

居住者さん

……しょうがないわね、マンションの皆さんがやってるって言うし、私だけやらないわけいかないし。でも、何も知らない私でも務まるのかしら・・・?

居住者さん

・・・というか、マンション役員って、実際なにをする人たちなの?

「次の役員はあなたです。」

突然そんなことを言われたら、びっくりしますよね。

ですけど、マンションの所有している人(区分所有者)には、必ずと言っていいほど付いてくるお仕事です。殆どのマンションでは『輪番表』をつくっていて、いつ、誰が役員になるのかが予め決まっていて、逃れられない宿命のような役割です。

殆どの人は、マンションについて「自分の部屋」のことしか知りませんし、マンションの建物全体のことや、設備や管理運営のことなんて、業界人でない限りほとんど知らないでしょう。

そんな人たちが「マンションの管理をしていく」となると、具体的に何をすればいいのか分からないでしょうし、何の予備知識のない自分が役員をやっていけるのか、不安に思う方も多いはずです。

でも、大丈夫!

この記事を見れば、その心のつかえが取れること請け合いです!

私、かわぐちろろがマンション管理フロントとして勤めてきた中で、実際にこのようなお声をたくさん頂戴しましたが、私がご案内した役員の皆さんは、理事会でも総会でも、何の不安もなくそつなくしていらっしゃいました。

管理業界10年以上のキャリアで得た知識と経験を、マンション管理士で現役フロントマンのかわぐちろろが、分かりやすくご紹介します。

これさえ読めば、

なんだ、こんなことか。知らなくてもできるんじゃない。心配して損したわ~

こうなること請け合いです。

この記事は、こんな人にオススメ!

  • マンションの役員になったばかりの新人役員さん
  • 建物や設備や管理について、よく分からないまま理事会に出席している理事長さん
  • マンション管理会社に勤めて間もない新人の管理フロント社員
  • マンション管理会社に入ろうと思ってる転職者や就活生
  • マンション購入を検討しているが、マンション管理についてよく知らないビギナーオーナーの方

など、主にマンション管理について初心者な方向けに、かなり大まかに簡単にまとめてます。

長年管理組合運営に関わってきたベテラン役員さん、管理会社社員にはモノ足りない内容ですが、細かい規定や法律についてまで言及するとキリがないので、ざっくりと、初心者向けにお話しします。

この記事で言う「管理規約」は、国交省が公表しているマンション標準管理規約を基準に説明してます。
マンションごとに管理規約を変更している場合や、特別なルールを敷いている場合があります。自分のマンションの場合はどうなっているのか各々確認してください。

理事会とは

まずは『理事会』について、すごーく簡単にご説明します。

理事会はマンション管理の『実行部隊』

理事会とは、一言で言えば「マンション管理の実行部隊」です。

あれっ? マンションの管理って、管理会社さんがやってるんじゃないの?

なんてことをよく言われますが、半分当たってて半分間違ってます。

  • 管理組合:マンションの管理を行うための大きなグループ
  • 理事会 :その管理組合の代表者が集まった実行グループ
  • 管理会社:マンション管理のために雇われたお手伝いさん

ざっくりと、こんな感じです。

会社に例えると

  • 管理会社:会社そのもの。組織の大枠
  • 理事会 :会社を実際に運営するために、社長・取締役・監査役など偉い人が話し合う役員会
  • 管理会社:会社の事務要員+経営コンサルタント的な専門家

 こんなイメージを持ってもらえると分かりやすいと思います。

ですので、『理事会』とは、管理組合を代表する『マンション管理の実行部隊』と言えます。

マンションの管理を実際に行う組織が『理事会』

 ちなみに『管理会社』はというと、

 マンション管理は、お金の扱い、管理員さんの雇用、マンションの清掃、建物・設備のメンテナンスなど様々あり、ノウハウがない方が全てをこなすには、とてもじゃないけど荷が重い。

 そういうときに、専門家(管理会社)お金(管理委託費)を払って、自分たちの代わりにマンション管理を代行してもらう、という形を取っているというわけです。

見た目の上では「管理会社がマンションを管理してる」という風に見えますが、厳密に言うと、

「管理組合(理事会)に代わって、管理会社が、依頼を受けた内容(管理業務)を行っている」

というわけで、管理会社が直接マンションを管理しているわけじゃない、ということです。

管理会社は、あくまで基本「管理組合から依頼を受けたこと」を行う業者さんであって、マンション全てを自分の判断でなんでもできる人じゃないんだ。

でないと管理会社に思うがままにされちゃうから当然よね。
でも、管理会社は「管理をする会社」なんだから「マンションのことなら何でもやってくれる」と勘違いしてる人が意外と多いよ。管理会社とトラブルになることもあるから気をつけようね!

理事会の役員ってどんな人たちがいるの?

 会社に取締役会があり「社長」「取締役」「監査役」がいるように、管理組合の理事会にも、それぞれ役職が与えられた人たちがいます。

 代表的な役職は以下のとおりです。

理事長:印鑑を押す人

理事長は、その名のとおり理事会の長で、『管理組合の代表者』です。

代表者ですので、マンションの火災保険や修繕工事などで業者さんとの契約するときや、管理費を預ける銀行の通帳の名義は理事長の名前を使い、『マンションかわぐち管理組合 理事長 かわぐちろろ』という具合になります。

会社に例えれば、まさに『代表取締役社長』という位置付けですね。

しかし、会社と決定的に違うことがあります。

それは、『理事長は【みんなで決めたこと】しかできない』ことです。

 会社では「ワンマン社長」がいて、社長のツルの一声で会社の重要案件が決まり、すぐさま会社全体が突き進んでいくシーンが(良い意味でも悪い意味でも)よくありますが、マンションの理事長は違います。

 理事長の職権(できること)は、基本的に

  • 管理組合の総会で決まったことを実行する
  • 理事会で決まったことを実行する

この2パターンぐらいで、理事長一人で判断して、誰のOKをもらうことなく勝手に実施していいことは(レアケースを除いて)ほとんどありません。

管理規約で『理事長だけの判断で実施してOK』という内容があるにはあるけど
『大災害が起こって理事会なんて開いていられないとき』
『緊急事態で他の役員にOKをもらう余裕がないとき』
というような、非常にレアケースな場面だよ。

厳密にはもっと細かいけど、深掘りすると混乱するから、今回は『理事長は、決まってない事を自分の判断だけでどうこうできない』ってことだけ覚えておけばOKだよ!

ただ、「これは理事長が一人で決めていい。判断は理事長に任せる」というふうな特別ルールを作れば、例外的に理事長単独で物事を進めることができるよ。

でも、その特別ルールは管理規約や総会・理事会で許された一定の範囲を超えないことに注意が必要ね。

管理会社フロント

どこまでがOKでどこまでがNGかはケースバイケースなので、ぼくら管理会社に確認しよう!
でないと「理事長が勝手にやった!」って後ろ指さされちゃうよ!

また、よく「理事長はマンションの代表なんだから、責任が重い」と言われますが、それは誤解です。

「みんな(管理組合や理事会)が決めたことを行うだけ」ですから、裏を返せば、「理事長一人の責任じゃない」ということが言えますよね。

役員で理事長になられた方は、「自分ひとりが責任を負わなきゃいけない」なんて思わず、肩の力を抜いて臨んでもらえればと思います。

副理事長:理事長の黒子

 副理事長は「理事長の補佐。病気や事故で業務ができなくなったときのピンチヒッター」です。

・・・以上です。

管理規約にはホントに「副理事長は理事長の補佐で代役! 以上!」としか書かれてないよ。

『補佐』といっても何を補佐するのかも全く書かれてないから、理事長が元気でいるうちは、実質「平理事」と一緒だね。

監事:お目付け役

 監事は「管理組合・理事会をチェックするお目付け役」です。

 理事長や他の理事が、

  • 正体不明の業者を連れてきて、ほとんど中身を精査せず高額の工事を発注する
  • 文房具や清掃道具を買うための小口現金を飲み食いに使って「これ払っといて」と手書き印なしの領収書を管理会社に押しつけて支払わせる
  • あいつは気に入らないから理事会に呼ばないでおこう、と特定の役員を理事会に呼ばない
  • 特に緊急事案でもなく、本当は総会決議が必要なのに、理事会で決めて進めてしまう

そんなめちゃくちゃな運用をしている理事会があれば、監事の特権『総会招集権』を使い、マンション全員に向かって理事の悪逆非道を公然のもとにさらし糾弾することができちゃいます

・・・「悪逆非道を糾弾」なんて、字面だけ見るとすごいね

でも、よっっっっっぽどのことがない限り、監事が総会を開くなんて事態は起こらないので、ご安心ください。

管理会社フロント

管理会社のフロントを長年勤めてる人でも、監事が総会を招集するなんてシーンに出くわした人なんて、ほぼいないんじゃないかな。それくらいレアケースだよ!

また、監事は「監査人」という立場上、『理事会とは別組織』というくくりとなっています。

ですので、「理事」の立場で理事会に参加することはできない(話し合いの場には参加できるけど、理事会で物事を決めるとき『賛成/反対』の票を投じれない)ところが、もう一つの大きな違いです。

理事会の監査をする人がその理事会の運営に関与することができない、という仕組みは、当然と言えば当然ですよね。

理事:その他もろもろ

 その他、「会計担当理事」「施設管理担当理事」「防災担当理事」「植栽管理担当理事」「防犯担当理事」「生活マナー担当理事」「自転車担当理事」「修繕担当理事」「ペット担当理事」「夏祭り担当理事」など、様々な役割を与えられた理事がありますが、これはマンションごとに千差万別です。

 どんな役割があるのか、何をやらなければならないのかは、マンションごとのローカルルールで決まっています。

これら理事の役職は、必要に応じて後から作られたケースが多いよ。
そこから、どんな役職があるかで、昔からこのマンションにどんな問題が潜んでいるか、何に高い関心があるのかを、なんとなく察することができそうだね。

【例】生活マナー担当理事がある→マナー意識がゆるくてルールを守れない人が多い/防災担当理事がある→防災意識が高い、など。

役職の決め方について

 役職の決定方法は、殆どの場合『互選(理事の間での話し合い)』で決めます。

 一部のマンションでは、「輪番表に役職まで決められている」「1年目の人は平理事、2年目の人は理事長」「これまで理事長になったことがない人から理事長を選ぶ」というようなローカルルールがある場合がありますが、殆どの場合が『互選』です。

 しかし、「私が理事長をする!」といって立候補をする人は稀なので、大抵の場合「推薦(という名の嫌な役職の押し付け合い)」か「クジ引き」が一般的です。

 ただ、『監事』は理事ではありませんので、『互選』で決めず、総会で個別に選任する必要があります。

管理規約でも『監事は総会で選任する』と決められてるので、互選で監事を決める(理事会の役員の中から、理事会メンバーの話し合いで監事を決める)のは、厳密に言うと管理規約上ルール違反なんだ。

でも、多くのマンションでは「監事も理事と一緒に理事会に参加して意見を交わしている」「理事も監事も一緒のようなもの」という意識が昔からあって、監事を総会で選任せずに、理事会内の互選で決めてるケースがあるね。

あまり好ましくない事なので、もし自分のマンションでこのようなことがあったら、早めに解決しておいた方がいいよ。

一番「楽」できる役職は何?

恐らく殆どの方は、

理事会なんてめんどう。でもやらなきゃならない。それなら一番楽そうな役職って何?

と思われていると思います。

ご安心ください!

そんなあなたに、一番「楽」できる役職をお伝えしましょう。

それぞれの役職のお仕事内容と手間量

まずは、ごく一般的な理事会役員のお仕事内容をまとめました。

役職お仕事内容
理事長・理事会の招集、理事会の議事進行
・総会の招集、総会の議事進行
・理事長印/銀行届出印の保管
・月次収支報告書の受領
・各種届出書、施設使用契約書(自転車や車の駐車契約など)の署名押印
・工事に関する必要書類の処理(発注書の署名押印や完了確認など)
・法定点検書面の署名押印  (2021年から理事長印が必要なくなりました)

(以下、他の理事や管理会社に任せる場合もあり)
・理事会/総会資料の作成
・理事会/総会議事録の作成
・法定点検書面の提出
副理事長・理事長が事故・病気で理事長職ができなくなったときの代役
監事・理事会/管理組合の業務の監査(具体的に何をどう監査するかは決まってない事が多い)
・年1回の定例総会の時に「監査報告」を行う。
その他理事・それぞれ個別に役割が与えられてる場合あり
例)
会計担当理事:小口現金のチェック、請求書チェック
施設担当理事:点検/工事の仕上がり確認、業者との交渉
植栽担当理事:土いじり好きな方々の同好会の取りまとめ
マナー担当理事:マナー啓発文の作成、見回り
防災担当理事:消防訓練の取り仕切り、防火管理業務

これを踏まえ、各役職の大変度をレベル分けしたのが↓のとおりです。

役職特徴大変度
理事長なんだかんだでやる事がいっぱい!
old-woman
副理事長決まったやることが特にないけど、任期が複数年だと『次の理事長』をやらせられる可能性高old-woman
監事「監査役」「理事ではない」という特徴から、基本的に理事会の仕事を振られることはない。old-woman
理事特にやることが決められてないマンションなら、一番楽チン。ただしマンションごとに「何の仕事がふられているか」を確認要。以外に一番面倒な仕事があるかも・・・old-woman

こんなふうに、『監事』が一番楽なケースが多いです。

前述の『監事』の項目のとおり、監事は「お目付け役」という立場で、理事会/管理組合を監査する役目がありますが、一般的なマンションでは、ごくごく一般的な注意を払う程度で十分と言われていますし、よほどのことがない限り監事が前面に立ってマンションを監査するようなシーンは本当にまれです。

 しかも監事は「監事は理事会を監査する立場だから、理事会の活動には直接か関われない」と言ってしまえば理事会の仕事を免れることができる(かも)しれません。

ただ、監事が「総会で決定する」というルール上、上手く自分が監事になれない場合が考えられます。

その際は、それぞれの役職のやることやローカルルールを聞いたうえ、「副理事長は次期理事長になることが条件ではない」「理事は特にやることない(あっても楽そう)」なんて事を確認し、一番楽そうなものに立候補することをお勧めします。

上記は、あくまで各役職の『ごくごく一般的なマンションでの業務量の実態』を単純比較した内容です。各役職の責任区分や、マンションごとのローカルルールを加味した比較ではありません。

まとめ!

以上、役員のそれぞれの役割、特徴、具体的なお仕事内容から、裏話として「一番楽な仕事」をご紹介してきました。

たしかに役員のお仕事は面倒です。

自分の家のこととはいえ、リアル仕事と並行に役員活動というボランティアに従事すると考えると、とても憂鬱になりますよね。

ただ、自分の暮らす家をより良くすること、自分のマンションがどんな特徴があり、どんな運用がなされているか、それを知るいい機会だと思います。

管理会社を上手く付き合うことで、もっと合理的に、楽に事を進めることもできると思いますので、もし思い悩んだら、管理会社の担当フロントが力になってくれると思いますので、気軽にご相談してくださいね。

ではこの辺で

かわぐちろろでした。

かわぐちろろ

また次の記事でお会いしましょう。 おわり!

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