はじめに
管理会社? 激務でやってられないわ!
休みもないし、安月給! ホントやってられないよ!
・・・ってな書き込みが溢れてるけど、ホントなの?
ネットの書き込みでは「マンション管理のフロント業務は激務」「クレーム業界でストレス過多」という記事で溢れています。
ですが、
- 実際どんな仕事をしてるのか
- 激務というけど、何がそんなに激務なのか
- クレームは実際どんなクレームなのか
など、実際の仕事内容がどんなものなのか、ご存じない方が多いのではないでしょうか。
私もマンション管理業界に入ろうとした時、色々なネガティブ情報に踊らされ、かなり迷ったことがあります。
今回の記事は、10年以上管理業界に身を置く私が、実際の仕事内容の『表の顔』と『裏の顔』を、体験談と共にお伝えします。
この記事はこんな人にオススメ
この記事は
- マンション管理会社への転職を考えている方
- マンション管理業界に興味がある方
- フロントマンの仕事内容をイマイチ知らない理事会の役員
こんな方にオススメです。
管理会社フロントは、確かに厳しいです。
ですが、自分ルールを決めて、効率的な仕事の仕方を考えていき、要領よくこなせば、
『自分の都合に合わせて休みを取れる』
という、一般企業ではほぼあり得ない、かなり自由にスケジュールを組むことができる仕事です。
そんなフリーダムな条件で仕事ができる職業なのに、実情がよく分からず、あらぬ誤解が独り歩きして、業界全体が忌避されるのは非常にもったいないと思い、この記事を作りました。
それでは、どうぞ!
『フロントの仕事内容の実態』の結論
簡単に結論をまとめると、
このようになります。
今回の記事は、前編では「机上(体裁上)でのお仕事内容」を紹介する『表の顔』。
後編では「フロントマンの仕事のホントのところ」を紹介する『裏の顔』をお伝えしていきます。
それでは内容について、細かく見ていきましょう。
フロントの仕事内容
マンション管理会社の『管理業務』は、この4通りに分けられます。
業務名 | 主な内容 |
---|---|
事務管理業務 | 理事会や総会の運営サポート 管理費・修繕積立金の徴収 各種支払いや会計管理(出納業務) 業者との折衝 その他事務作業 |
管理員業務 | マンション管理員サービス全般 |
清掃業務 | 日常清掃や定期清掃の実施 |
建物設備管理業務 | 建物や設備の点検 |
フロントはこれら4つの業務が正しく行われているかのチェックや指導、管理組合への報告や説明などを行う業務統括の役割がありますが、特に『事務管理業務』を中心に行います。
マンション管理会社ではやり方は違えど、これら業務はほぼ全ての会社でやってることは一緒だよ
フロントが業界内で転職しやすい所以ね
事務管理業務
次に「事務管理業務」の具体的な内容について見ていきましょう。
「事務」といっても様々あり、細分化すれば具体的にはこのような内容です。
- 管理組合の活動記録の作成
- 業者・管理員からの点検報告書のチェック
- マンションの予算進捗のチェック
- 理事会・総会資料の作成
- 理事会・総会終了後の議事録作成
- 管理規約などのルールブックの作成・変更
- 設備の修繕プランの作成
- マンションの運営方針の見直し
- これらそれぞれに付随する電話・Mail連絡
大きな項目でいえば概ね以上のとおりで、事務作業をこなすのに1日事務所作業もザラにあります。
Mailは多い日じゃ1日20通来ることもあって、返事を書いてるだけで1日が終わることもあるよ
特に理事会・総会が終わった翌週月曜はスゴイよね
理事会・総会の運営サポート
理事会、総会の運営サポートは、どんなことをするのでしょうか。
フロントマンにとって、理事会・総会の運営サポートは、仕事の核と言っていいほど重要なことです。
これが疎かになると、どんなに他の業務が良くても、マンション側から評価されず、逆に『使えない奴』という不名誉なレッテルを貼られることになりかねません。
逆に、管理組合側のウケが良くて、社内の仕事ができない人もいるけど、こういう人は評価は低くなりにくいし重宝されるんだ!
ある意味「お客様ファースト」ね!
前述「事務管理業務」でも書いたとおり、理事会・総会の運営サポートは「資料作成」「議事録の作成」があります。
ですが、運営サポートとなれば、これらに加え
- 開催する会場の予約や会場費の支払い
- 出席者のスケジュール調整
- 会議内の司会進行
- 意見の取りまとめ
など、これら細かなことをこなす必要があります。
多くの場合、自分自身も理事会・総会に出席することが求められるため、他の出席者はもちろんのこと、自分のスケジュール調整も必要となります。
フロントが出席しなくていい理事会や総会もあるけど、ホントに例外中の例外だよ
資料作り
会社での会議の時、何の資料もなく会議の場がもたれることはなく、何かしらの資料があって、それを基に話し合いがもたれます。
マンションの理事会や総会も例にもれず、理事会・総会を開催する時にはその資料の準備が必要で、用意するのはフロントの仕事です。
話し合う案件は、理事や居住者の方から出された内容以外にも、管理会社からの報告事項(会計、点検の内容、管理員の業務報告)のほか、管理会社からの提案内容も含まれます。
これらをいかに見やすく、テンポよく説明でき、相手からYESを取れるよう働きかけるか。
この資料作りはフロントの腕の見せどころといっても過言ではないでしょう。
▼コチラ▼の別記事で『資料の作り方』について取り上げていますので、よかったら一緒にご覧ください。
関係者との折衝業務
マンション管理はフロントマン一人では何もできません。
マンションの修繕工事や設備点検を行う業者さん、清掃を行う清掃業者など、様々な人とやりとりをし、管理組合から依頼された業務をこなしていきます。
業者との折衝を具体的に挙げると以下のとおりです。
- 点検・清掃の実施日の調整
- 内容についての事前協議
- 特別な要望事項(清掃重点箇所の追加、居住者対応など)の協議
これらは当然のことですが、こと「折衝業務」となると、「清掃業者」「点検業者」だけではなく、居住者や理事会役員との折衝も含まれます。
それらは単なる業務の問い合わせに留まらず、騒音などの居住者同士のトラブル、管理費などの滞納者への督促、その他トラブルでの緊急対応など、多岐にわたります。
このトラブル対応をどうクリアするかが、フロントの腕の見せ所だよ
良い対応をすれば評価が上がるけど、逆にヘタをこくと評価が一気に落ちるから要注意
管理員の指導教育
一般的にフロントマンは、管理員の上司に当たり、管理員の指導・教育を行う立場です。
管理員は、日常的に居住者と一番接しているわけですから、その管理員の接客マナー、業務の進め方、(清掃兼務の場合は清掃のやり方)がしっかりしていると、間接的に居住者からの苦情を大幅に減らせますし、仮に苦情が発生しても、多くの場合、管理員の人徳で最小限に食い止めることができます。
マンション管理において、管理員の存在はかなり大きいです。
マンション内で「管理会社を変更しろ!」という動きが高まっていても、いざ管理会社を変更するとき、「管理員だけは残せ」という要望をもらうことが多くあります。
それだけ管理員の存在が、管理組合(特にマンション居住者)にとって大きいことがうかがえますので、フロントの管理員への指導教育がいかに大事かが分かりますね。
『まともに働かない』『サボってタバコを吸ってる』『挨拶をしない管理員』『言うことをまともに聞かない』『すぐ怒る』『できないことを言い訳して改善しようとしない』・・・などなど、いくら指導しても効果がない管理員だと、フロントがいくら頑張っても現場レベルで評価が駄々下がりになるから苦労するよ。
建物の巡回
マンションの状況を知るため、管理員への指導なども兼ね、フロントは大体月1回のペースで建物に足を運びます。
建物や設備が1~2ヶ月程度で大きく変化するわけはありませんし、毎日管理員が見回っているので、巡回に行かなくても(実態として)あまり影響はないのが事実です。
ですが、管理員業務の殆どは『1人現場』なので、誰も見回ってないと堕落してしまうのが人の性。
定期的に見回って、ちゃんと仕事をしているか、ゴミが散らばったままになってないか、クモの巣が張ったまま放置してないか、自転車はちゃんと整理されているか、ゴミ置場が整理整頓されているか、これらをチェックして、至らぬところがあれば業務指導していくことも重要です。
それに、たまに会って話をする機会を作るなどコミュニケーションをとっておくことも重要です。
何もなくてもたまに出向いて管理員と話をすることも、管理職として重要な仕事の一つだよ
たった一人でずっと仕事をしていったら、人間誰しも腐っていくからね
まとめ!
ここまでは前半部分として、表面的な業務内容をご紹介してきました。
次の記事では「実際はどうなの?」という、業界のホンネ部分をご紹介します。
ではこのへんで。かわぐちろろでした。
マンション管理士かわぐちろろ の【ろろ余談】
ここまでは『表の顔』。後編では「ホントのところ」を紹介するよ!