この記事は「マンション管理会社は激務?」の後編です。
まずは前編の▼コチラ▼の記事からご覧ください。
業務内容 ~ウラの顔~
前編記事『表の顔編』でご紹介しましたマンション管理フロントの業務実態について、
このように紹介しました。ですが、当然これだけではありません。
前編でご紹介した内容は、あくまで「普段行う業務」で、要領よく行えば大した内容じゃないです。
後半部分では、
このとおり実際に激務と言われる理由を、超具体的にご紹介します。
激務理由1 特別対応の多さ
どんな業界でも多かれ少なかれあるのが、契約外の特別対応。
いわゆる「サービス業務」です。
マンション管理業では、業務の内容は全て「管理委託契約書」に沿って行われ、フロントの業務もまたその契約書の中に書いている業務に限られています。
・・・がしかし、日本のサービス業の(こざかしい)風習では、『契約以外の業務をするのがサービス業として当然』と思っている人種が多いのか、当然のことのように要求してきます。
特にマンション管理業では、フロント社員が強く言いだせないことを良いことに、マンション理事会側からそれらを求められることが多分にあり、多くのフロント職を苦しめているのが実情です。
代表的な例は大体次のとおり。
- 会計資料を規定の書式ではなく特別な書式に直せと言われる
(システムで出力できないため一から手打ちで作成が必要) - これまで3ヶ月ごとの理事会がいきなり毎月になる
- 理事会とは別に「打合せ」という名目で会合の参加を求められる
(その資料の準備も求められる)
これらは事務管理業務の中にある「理事会支援業務」「巡回業務」に触れるため、多くの場合請けることとなり、フロントの業務をダイレクトに圧迫することとなります。
その他にも
- 設備点検は全て管理員とフロント2人で立ち会えと言われる
- 資料は郵送でなく全て手渡ししろと言われる。
- 夜間の見回りをしろと言われる。
- アンケートは個別訪問して取れと言われる。
- 自動ドアが壊れたら、直るまで玄関にいろと言われる
など、サービス外の特殊対応を求められることがあり、請けるにも断るにも労力がいるという状況があります。
ちなみにこれらは事実だよ。こんなことを真顔で言う人がいるなんて怖いよね。
ホント怖いよね。
【ろろ余談】
私は余りの過剰要求は断ってました。さすがに「夜回りしろ」はないわ。
激務理由2 緊急対応
激務と言われる最大にして最も難易度の高い理由がコレ。緊急対応です。
代表的な例は次のとおり。
上の部屋から水が漏ってる! 今すぐ来て!
電球が切れてる! 今すぐ替えて!
自動ドアが動かなくなってる! 何とかして!
隣のYouTuberがうるさいの。すぐに行って注意してきて
手すりが汚れてる! 今すぐ掃除して!
自転車にいたずらされた! 今すぐ防犯カメラを見て犯人を捕まろ!
といった具合に、
- 建物、設備の不具合
- 清掃対応
- 居住者トラブル
主のこの3点が理由として挙げられます。
中には
いいから今すぐ来い! 今!すぐにだ!
と要求する 話の通じない ムチャな方もいますが、殆どはこの3点です。
漏水をはじめとした設備不具合は、フロント社員ではどうにもならない(行っても応急処置ができない)ので、緊急対応業者を向かわせて一次対応をとるケースが殆どです。
しかしながらフロントは
- 現場状況のヒヤリング
- 一次対応業者の手配
- 関係者への情報展開
- 一次対応業者の対応状況の確認
- 二次対応業者の手配準備
- 関係者への対応状況の中間報告
これらを当日(遅くとも翌日~2日後まで)に行うことが求められます。
怠れば「報告が遅い」「対応が遅い」「連絡がない」などと言われ二次クレームに繋がりますので、立ててた予定をすっ飛ばしてこれら対応をしなければなりません。
そうなると、やらなきゃならない本来の仕事が必然的に後ろ倒しになり、結果として残業が増え、業務負荷が重くのしかかってきます。
こればっかりは自分の努力じゃ制御しきれないから、諦めるしかないよ
でもなぜか忙しい時や「今日はコレをやろう」と決めてた時に限って発生するから不思議ね!
【ろろ余談】
事実、マジで緊急対応がきつかった翌年、私は年始にお祓いに行きました
激務理由3 フロントは「人」で疲弊する
これまで例を挙げてきた中で、『ここまで言う人いるのか!?』と思われる方もいらっしゃると思います。
ですが、考えてみてください。
一般的なフロントなら、ごく普通のファミリータイプ30戸程度の小規模マンションだと、概ね平均14~15棟を担当しています。
1世帯当たり2.5人居住と考えると、1フロントあたり30戸×2.5人×15棟=1125人 の居住者が住むマンションを担当している事になります。
世の中1,000人いて、「なんかちょっと変わってる人」は、どのくらいの割合でいるでしょうか。
200人中1人? 300人に1人?
割合が200人中1人(0.5%)でも5~6人、300人中1人(0.3%)なら3~4人いる計算になります。
たった5~6人くらいなら大したことないじゃん
と思われる方もいるでしょう。
もちろん程度の差はあるでしょうが、こんな人が毎日のように会社や自分のケータイに電話してきたり、管理事務室に突入してきて細かいことをグチグチ言ってきたり、頼みもしない点検の立ち会いをしてきて仕事にならなかったりと、目も当てられない状況になります。
そんな「ちょっと変わってる人」を無視できないのが苦しいところ。
余りに度を過ぎたことをしていれば、周りの居住者や役員さんも同情して、一線を引いた対応をしても理解を示してくれるでしょう。
ですが、こんな人が「理事長」や理事会役員になったりしたらどうでしょう。
通常業務はロクに手をつけられず、休日でも容赦なく電話がかかってくる。
こんな人が一人でもいたら、例え業務量が多くなくても、精神的に参ってしまう。
ここがマンション管理会社フロントの、最もつらいところと言えるでしょう。
一番困るのが、こんな人でも「お客様」として接しないといけないところなんだよね
「この人から連絡が来たらどうしよう」といつも気になって仕事に手がつかないのが一番ストレスなのよね
まとめ!
マンション管理フロントの激務理由は、まとめるとこうなります。
ですが、▼コチラ▼の記事で紹介しているとおり、財閥系をはじめとした購入マンションに住んでいる方は、それ以外の方々と比べ、常識を疑うような要求は(あまり)されない傾向にあるようです。
業務量はさておいて、「人」に起因する理不尽なストレスに悩まされたくないのであれば、ランクの高い管理会社を目指すことをお勧めします。
「金持ちケンカせず」という言葉は、ホント不思議と言い得て妙だよ
だけど社会的地位の高い人は、それなりに高い要求水準や思考力が求められるから、どっこいどっこいかもね
ではこのへんで。かわぐちろろでした。
マンション管理士かわぐちろろ の【ろろ余談】
結局、どんな業界も楽な仕事はないってことですかね