はじめに
おたくの資料、なんだろう、何だか分かり辛いんだよねぇ
たくさん文章を書いてるけど、文字が多くて頭に入ってこないのよね・・・
・・・おっかしいなぁ。あれだけ時間かけて作ったのに全然分かってもらえない。
いろんな質問を想定して、必要なことは全部書いてるのに、なんで分かってもらえないんだ?
どした同僚?
いやなに、あの案件、説明しようと思って資料を作ったんだが、全然うまくいかないんだ
お前、資料ってどうやって作ってんだ?
知らねぇ、勘よ。そもそも資料作りなんて入社してから教えてもらったことないもんな
・・・どうすりゃいいんだ
「理解してもらえる資料」「見栄えのいい提案書」
マンション管理に限らず、社会人にもなれば、社内向け・社外向け、あらゆるところで必要となるスキルでしょう。
ですが殆どの場合、作り方やコツなどは、場数を踏んで、見よう見まねで作って言って体得する、いわば『自助努力』で養っているのが現実です。
フロント社員の方、特に社会人なりたての方は、こんなことで悩んでいませんか?
- お客さん向けに資料を作れと言われたけど、どうやればいいか分からない。
- 作った資料を客に見せたら「分かり辛い」「まとまってない」「頭に入ってこない」と言われる。
- 上司に見せたら「何か違うんだよなぁ」と言われる。(でもアドバイスは無い)
- 自分なりに頑張って作ったのに、どこがどう悪いのかよく分からない。
これまで私も資料の作り方苦労した経験があります。
うまく提案ができず、ずるずると時間だけが過ぎ、結局『もうこれでいいや!』と半ば投げ槍に話を進め、結局お互い消化不良のまま終わってしまう。そんなことを繰り返してきました。
ですが、ご安心ください!
どんな資料作りにも、ある程度共通した『ポイント』というものがあります。
マンション管理フロントであれば理事会役員、営業の方であれば客先やクライアントなど、それぞれ顧客の属性が違うでしょうが、『相手は人間』である以上、一定の共通ルールが存在するんです。
そのポイントを押さえてさえいれば、誰でもすぐに、効果的で、YESの取れる資料作りができるようになるでしょう。
今回は、そんな資料作りのポイントについてご紹介します。
この記事はこんな人にオススメ
この記事は
- 理事会で旨く案件を通過させたい管理会社のフロント担当の方
- 客先に提案営業をし始めた社会人1~2年目の方
- 上司から社内プレゼンの資料作りを初めて任せられた主任クラスの社会人
こんな方にオススメです。
このやり方を意識して資料を作り始めたら、かなり話が通りやすくなりましたし、
また、Yes/Noの判断が早くなり、話が通らず結果的に却下されても、ムダに時間を費やすことが少なくなしました。これはこれで一つのメリットと言えるでしょう。
そうなれば、とても仕事がやりやすくなると思いませんか?
また、これが体得できれば、「資料が分かり辛い」と理事会役員の皆さんにフラストレーションを与えることも少なくなり、顧客満足度の向上にもつなげられます。
迷えるフロント社員や社会人なりたての方にとって、少しでも役に立てればなと思い、この記事を作りました。
それでは、どうぞ!
【これホント?】資料作りのポイント5選【実はキモ】
ここからは、資料作りの具体的なやり方について紹介します。
最初に「ゴール」をイメージしよう
文字一つ打ちこまれていない、真っ白なワードエディタ・・・。
漂白剤も裸足で逃げだす驚きの白さを前に、ここから資料作りを始めようと思うと、途方に暮れてしまいますよね。
なんとなく思いついたことから書いていくかぁ・・・
なんて気で作りはじめると、何から書き始めたらいいのか分からず時間だけが過ぎていきます。
仮に書き始められたとしても、書きあげる順番を変えたり、文章の入力→修正を繰り返したりと、思ったように捗らないでしょう。
そんな時はまず、
自分がたどり着くであろう『ゴール』を具体的にイメージしてみてください。
例えば、
検討してもらいたい案件 | ゴール(最終目的地)のイメージ |
---|---|
・排水の設備が壊れているから直したい | ・修理のOKをもらう |
・社内に新しいソフトウェアを導入してもらいたい | ・導入のOKをもらう |
・床マットのレンタル契約を取りたい | ・レンタル契約のOKをもらう |
具体的にはこんなイメージです。
単純なことですが、自分の『目的』を明確にすることで、そこから『何を準備すればいいのか』が見えてきます。
まずはそこから始めましょう。
単純なことだけど、とても大切な作業だよ!
ここができてないと、目的がぶれちゃってゴールにたどり着けなくなるよ!
必要な情報を集めよう
『ゴール』がイメージできたら、次は、それらにまつわる情報を集めて整理しましょう。
『それらにまつわる情報』とは、簡単に言えば
『聞かれるであろう質問と、その答え』
これらを事前に想定しておくことです。
例えば
建物の境にある壁が壊れた! 直さなきゃ!
といった時、『壁の修理』にまつわる情報とは
- 「壁」ってどこの壁を指しているの?
- その壁は何のためにあるの?
- いつ壊れたの?
- なぜ壊れたの?
- 壊れる時期としては妥当なの? 早過ぎたりはしないの?
- 誰が直さなきゃならないの?
- 直さずそのままにしておくと、どんなリスクがあるの?
- 直さないと困る人はいるの?
- 直すのにいくらかかるの?
- 損害保険は適用されないの?
- そのお金を払って、私たちのお財布は大丈夫なの?
- その修理費は妥当なの?
- その業者さんに任せて大丈夫なの?
- 以前にも同じことが起こったの?
- その時はどう対応したの? いくらお金がかかったの?
- 応急処置のままではだめなの?
- いつまでに直さなきゃだめなの?
- いっそ取っ払って無くすことはできないの?
- 直す以外の方法はないの?
ざっと思いつくだけでもこれだけあります。
今回は「壁の修理」を想定しましたが、壁ではなく『給水ポンプ』『出入口の扉』などのマンション設備にもあてはめられるでしょう。
もう一つ例として、社内プレゼンで
新しいソフトウェアを導入してほしい!
といった時などは、
- そのソフトウェアはどんなもの?
- なぜこのソフトウェアを選んだ?
- ソフトウェアを導入して、会社にどんなメリットがある?
- 具体的にどれだけの生産性が向上する?
- イニシャル(初期投資)とランニング(運用費用)のコストは?
- そのコストに見合うだけのメリットがあるとどうして言える?
- 損益分岐点は?
- コストの軽減はできないのか?
- 導入のスケジュールは?
- 他に代替品や他社製品はないのか?
こんなところでしょうか。
『山に登りたい』→「登山ルートは?」「装備品は?」「交通費は?」「出掛ける時間は?」というように、自分の目的から考え始めて、そこにたどり着くための準備物を一つ一つ思い描く作業だよ。
当たり前のようで、実は結構できてないことが多いよ。
説明する順序を考えよう
ひととおり聞かれそうな質問とその答えを準備できたら、今度は実際に資料を作っていきます。
作り方(資料の構成)は色々ありますが、分かりやすく作るには
- 【現況説明】現在どんな状態なのか
- 【検討課題】何を検討すべきか
- 【検討材料】結論を出すための材料を提示
- 【選択肢】取るべき手段を複数提示
- 【推奨案】上記選択肢の中で最も推奨される案を提示
- 【推奨理由】推奨案を推す理由を説明
- 【決断】YESかNOを決める
このような順序で構成することをお勧めします。
具体的な内容は以下のとおりです。
書くこと | 具体例 |
---|---|
今どんな状況か | 地下のポンプが壊れて排水不良が発生しています。 |
何を検討すべきか | 排水設備の復旧について検討が必要です。 |
結論を出すための材料 ・いつ壊れた? ・なぜ壊れた? ・その理由は? ・壊れるには早い? ・誰が直すの? ・直さないとどうなる? ・修理費はいくら? ・保険は使えないの? ……などなど | ・先週末に壊れました。 ・経年劣化と思われます。 ・設置後10年経ち設備点検で指摘されてます。 ・メーカー推奨7年、交換計画上は10年周期のため妥当です ・所有者である管理組合が直します ・直さないと水が溢れ機械設備が壊れます。 ・15万円ほどです。 ・事故でなく自然故障のため保険適用外です。 ……などなど |
取るべき手段を提示 | ①ポンプを取り替える ②ポンプを修理する ③何もしない 以上が考えられます |
上記選択肢の中で最も推奨される案を提示 | ①~③案のうち、①壊れたポンプを取り替えるのが 原状復旧の観点から最も望ましいです。 |
推奨案を推す理由 | ②は引取り費用、修理費用、引取り期間中の予備品設置費用が掛かるほか、修理品は新品より壊れやすく、不具合が再発する恐れがあり、逆に費用がかかります。 ③は周囲に被害が拡大し、居住者の生活への悪影響や設備復旧に時間を要することが考えられます。 |
YesかNoかを決定する | 以上のことから、①案「ポンプ交換」をお勧めしますが、よろしいですか? |
なお、ここで最も重要なのが
言い替えるなら
ということです。
相手に複数の選択肢を与えると、迷って決め切れず先延ばしになることがあるけど、「YES」か「NO」かの二択を迫るように話を運べば、相手も選びやすくなって話を進めやすくなるよ!
専門用語は使わないで!
専門用語は、業界人にしか通じない合言葉のようなもの。
そのような言葉を使われると、理解が追い付かなくなって、聞いているだけでもわけが分からなくなってくるものです。
私の過去の経験で
かわぐちさん、『ポンプ』ってなに?
・・・・・・・・・・・・ッッ!!?
と聞かれたことがあるくらいです。
さすがにこれくらいは分かるだろ
と過信せず、できるだけ専門用語(特にカタカナ用語)は避けるように心がけましょう。
どうしても専門用語を使わなきゃいけないときは(カッコ書き)で簡単な注釈を付けるといいよ
自分の語彙力が試されるわね
できるだけ文字は大きく、図や写真を使って
みなさん、『論文』と『図鑑』、どっちが見やすいですか?
見比べれば、もちろん『図鑑』の方ですよね。
論文は文字を読み、内容を理解しながら読み進めなければ全体を把握できません。
一方図鑑はというと、文字が大きく、写真により視覚で内容を伝えられます。
情報量でいえば甲乙つけ難く、内容の正確性から言うと、論文に軍配が上がりそうですが、資料作りのそもそもの目的は、「相手からOKをもらうこと」です。
その目的のためは、相手に圧倒的な情報量を与えることではなく、相手に興味を持ってもらうことから始めないといけません。
えー、何これ難しそうッ!
と思われないよう、
- なるべく簡単に
- 目が痛くならないように文字を大きく
- 図や絵をちりばめ飽きさせないよう
- 細かいことは省いて「要点だけ」まとめる
こういった構成を心掛けましょう。
まとめ!
いかがでしたか?
これだけ心がけて作れば、一から資料作りをするときにも迷いませんし、より理解を深められ、納得感のある資料を作ることができるでしょう。
加えて、アナタがお客さんに提案する時も、この資料に沿って話すだけで順序よく説明することもできる。
いわば『自分用のカンペ』のような位置付けとしても使うことができますので、一石二鳥と言えるのではないでしょうか。
よろしければ、今日からでもチャレンジしてみてください。
ではこのへんで。かわぐちろろでした。
マンション管理士かわぐちろろ の【ろろ余談】
むかし営業コンサルタントの先生に「客先の相手には、世間話と【YES】しか喋らせない。それくらいの気概を持って臨め」と言われました。
案件を取るには効果的なテクニックですが、ちゃんと相手のことを考えて「三方良し」の精神で臨むことを忘れないでくださいね。