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【知らなきゃヤバイ】使えないド田舎山林・土地を処分する相続土地国庫帰属法[前編]。リスクヘッジは抜かりなく

荒廃した都市

実はワシ、実家に山を持っててな。
これらからはお前のもんだ。

今はなんも使っとらんが大事にしとぅてくれ

父の遺書にはこう書かれ、見れば祖父母の暮らしていた電車やバスもろくに通じてない超ド田舎の山林を、突然所有することに。

限られた国土しかない日本において、『土地』は立派な資産です。

ですが、有効利用できなければ資産としての価値はなく、むしろ負債しかも簡単に捨てることも処分もできない不良債権にもなりかねない厄介者。

例えるなら、誰かになすり付けないと離れないキングボンビーのような存在です。

ですが、そんなキングボンビーを処分できる制度「相続土地国庫帰属法」が2023年にスタートします。

この制度は、

どうしてもこの土地、処分できねーよーッ!!!

という人のための最後の救済策として作られた制度です。

今回はその制度の概要について簡単にご紹介します。

この記事はこんな人にオススメ

この記事は―――

  • 急に見知らぬ使えない土地を相続した方
  • 使えずに放っておいてる土地を持っている方
  • 持ってる土地が土砂崩れを起こして自分が加害者側になるんじゃないか?と心配されている方
  • 山の活用方法についてご存じない方

こんな方にオススメです。

  • 不要な土地に困っていても、処分の選択肢が増える
  • 改めて自分の資産を見直して整理できる
  • もし土地の相続をした際の予備知識として使える

この記事を読めば、将来山を相続した時の対応手段を知ることができ、「こんなモノ(土地)、どうしたらいいんだ?」と悩む事はなくなるでしょう。

今回は『山林』を主に取り上げていますが、これを起点に、山林のみならず「不要なマンションの一室」「都市部でも三角地や遊休地」など、不動産全般に視野を広げた考え方ができるようになります

それでは、どうぞ!

『不要な山林処分』の結論

簡単に結論をまとめると次のとおりです。

  1. 相続した山林が使えるか見極めよう
  2. 何もしないで放置なら、山林所有はデメリット
  3. 土砂災害の加害者となるリスクを忘れるな
  4. 持っても税金かかる
  5. 手放すにも金がかかる
  6. 最終手段は相続放棄
  7. ただし相続人が誰も居なけりゃ相続放棄後も管理義務が発生

この記事(前編)では、山林の活用法・メリットデメリット・所有リスクについて紹介し、後半では実際に手放す際の手続きについて紹介します。

それでは内容について、細かく見ていきましょう。

山林の現状について

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まずは、現在日本においての山林の現状、山林所有におけるポイントについてご紹介します。

  • 今回の内容は山林所有者となった際に注意するポイントを中心にご紹介しています。法律の解釈、具体的な内容については、それぞれ専門の不動産業者・税理士・司法書士などにご相談ください。
  • あくまで『資産』としての価値にのみ焦点を当てており、「先代からの土地はお金に替えられない」というようなスピリチュアルな側面には触れていません。
  • 土地の価値基準は人それぞれということを十分ご理解の上、ご一読下さい。

日本の山林の現状

「土地」といえば、「建物」と並ぶ『不動産』の一角を担う立派な資産。

ですが、使いものにならなければ「負債」としての資産。

言うなれば『負動産』です。

使いものにならない資産(負債)は、持っておいても価値はなく、自分にとってのマイナスでしかありません。

土地を持ってたら、もしかして「公共事業で使うから」とか「鉄塔立てたいから売ってくれ」なんてて声がかかるかも

と、中にはこんな淡い期待を抱く方もいるかもしれませんが、現状はそう甘くはないようです。

▼コチラ▼の資料をご覧ください。

少し古いデータですが、日本国土においてかなり広い面積の森林が「管理不適切」という状況ということがうかがえます。

日本の国土(37,296,847ha)に対し、森林面積(25,048,199ha)が2/3を占めており、上記表の管理不適切面積(推定229,000ha)では1%程度でしかありませんが、「衛星写真と現地調査で得た結果」で日本全国くまなく調査したわけではないことを考えると、この結果を優に超える広さに及ぶことは想像に難くないでしょう。

現に、実際の個人所有の山林の管理状況は▼コチラ▼のとおり。

森林においては、『約3/4の人たちがほぼ放置』という状況とのアンケート結果が出ています。

アナタのその森林が、「活用できる土地かどうか」以前に「ちゃんとメンテできてるかどうか」を確認する必要がありますね。

山林を使えるかどうか以前に、適切に管理されていなきゃ使いものにならないよね!

気持ちは分からなくもないけど、自分の資産を何もせず放置してる人がこんなに多いなんて驚きね

その山林、使えるの?

山林の活用方法について見ていきましょう。主に考えられる方法は次のとおりです。

  1. 売却
  2. 賃貸での土地活用
  3. 太陽光発電での土地活用
  4. 林業の経営

売却・賃貸できる?

売却・賃貸に出そうとするなら、不動産業者に相談するのが一番です。

一般的な都市部や住宅地、商業地の土地建物の売買賃貸の仲介のほかにも、森林関係も管轄する業者さんもあるようですので、そちらにお問い合わせするのが良いでしょう。

参考:山林引き取りサービス

ですが、そもそも売却も賃貸もできない。「タダでもいいから引取ってくれ」と言っても引き取り手がない山林が、文字どおり山のようにあるのが現状です。

引取り手がないから放っておかれているのが現状なんだよね

太陽光発電に活かせる?

次に思い浮かぶのが『太陽光発電での土地活用』です。

ソーラーパネルを敷き詰め売電する事業で、立地によってはかなりの収益が見込めそうです。

このように、ソーラーパネル設置場所を募集する業者も多数あり、売却・賃貸と並行した資産運用策として候補として挙がりそうです。

反面、まだ業界自体の歴史の浅く、契約形態(土地貸借でなく共同事業とか)のトラブルや、自然災害時のリスクをどのように担保しているかはよくよく注意が必要です。

【関連リンク】
太陽光発電に関するトラブルにご注意ください。(経済産業省 資源エネルギー庁)

ちなみに林業経営については、そもそも素人では手出しできない専門分野だから、選択肢から外れることは容易に想像できるよね

今まで草いじりもまともにしてこなかった人が、いきなりチェンソー持って山切り開いて丸太をトラックで輸送する事業を始めるなんて、現実的じゃないもんね

何もしないで放置なら山林所有はデメリット

ご存知のとおり、不動産を所有すれば「固定資産税」などの税金がかかります。

土地の面積や用途によって非課税措置を適用できる場合がありますが、基本「土地にはもれなく税金がかかる」と考えてください。

  • タダ同然でもらっても使い道がない。
  • 何も使ってなくて放置しても、持ってるだけで金がかかる。

山林を持て余していると、このような金銭的なデメリットが発生します。

そのうえ、昨今の異常気象(豪雨・暴風雪・台風)などの災害時、がけ崩れ・土砂崩れなどの被害が各地で報道されていますが、ご自身の山林から発生したら、「所有者責任」「管理者責任」の名のもとにアナタが加害者として損害賠償責任を問われるという超ド級のリスクをはらんでいます。

例えきちんとした整備・管理をしていても、「所有者責任」は免れることはできません。

がけ崩れ(斜面崩落)の責任は誰が負う? 土地所有者が負う法的リスクについて

斜面の崩落により、下層地の建物や通行人に損害を及ぼした場合には、誰がその損害賠償責任を負うのでしょうか。
以下に述べるとおり、多くの場合は、その斜面の部分所有者です。
占有者に管理上の過失がなかった場合には、所有者が(過失がなくとも)責任を負うことになります(民法717条1項)。

出典:関口法律事務所より一部引用

ソーラーパネルを山林の斜面に設置する際にも、自分が所有者なのか、事業協力者なのか、はたまた完全に売却しているのかで、もし災害が発生した際の責任負担がガラッと変わるから注意!

まとめ!

ここまでの内容をまとめてみましょう。

不要な山林処分のアレコレについての結論は次のとおりです。

  1. 相続した山林が使えるか見極めよう
  2. 何もしないで放置なら、山林所有はデメリット
  3. 土砂災害の加害者となるリスクを忘れるな
  4. 持っても税金かかる
  5. 手放すにも金がかかる
  6. 最終手段は相続放棄
  7. ただし相続人が誰も居なけりゃ相続放棄後も管理義務が発生

この記事(前半)では、1~4までご紹介しました。

▼コチラ▼の後半記事では、5~7についてご紹介します。

https://kawaguchi-loloblog.com/land-inheritance-abandonment-part2/

ではこのへんで。かわぐちろろでした。

かわぐちろろ の【ろろ余談】

かわぐちろろ

冒頭の余談は半分フィクション、半分リアルにマジです。

何がホントで何が脚色かはご想像にお任せします。