―――次の議題は来年度の点検ッスね。
来年は特建と消防ホースの耐圧試験をやらなきゃいけませんね。
消防ホースはおととし交換しましたから耐圧は必要ないですけど、消火器を交換しなきゃですねぇ
・・・何言ってるのかよく分からないわ。
なに?とっけんって?
あ~、マンションでやらなきゃならない点検の事っすよ。
細かく言ったら延べ面積が―――――
・・・ぁあー、わかった、わかったわ。(分かってない)
やらなきゃいけない点検なのよね。前も点検したんなら、同じようにやりましょ
さまざまな設備が備わっているマンションでは、それら設備の維持保全のため、日々さまざまな点検を行っています。
しかし、実際にどんな点検を行っているのか、そもそもなぜ点検する必要があるのかなど、点検の内容やその必要性まで踏み込んで細かく知っている方はあまりいないのではないでしょうか。
マンションの設備点検は、設備の種類が多いほか、様々な法律の規定がからみ、その全てを把握している方はなかなかいません。しかしながら、
- 見たことないものを説明されても、うまく思い浮かばない。
- 「点検が必要なんです」と言われてもいまいち納得感がない。
- そんなイメージ付かないものでも、管理業務主任者やマンション管理士の試験に結構細かいところまで容赦なく出題される。
―――というようなもので、現場の点検員ならまだしも、説明を受けるだけのマンション役員さんや新人管理フロントは、理解するのに結構苦労すると思います。
その中で「点検をするのでお金を出してください」なんて言っても、お金を払うマンション側も納得感がないばかりか、説明する管理会社側もうまく説明できないでしょう。
かくいう私も、マンション管理業界に入る前、管理業務主任者の試験勉強でかなり苦労した覚えがあります。
今回の記事は、初心に帰り、マンション設備の基本的な設備点検についてご紹介します。
この記事はこんな人にオススメ
この記事は、こんな方にオススメです。
- マンションの設備点検についてよく分かってない管理会社のフロント担当の方
- 点検の報告書や見積を見ても、いまいち理解できてないマンション理事会の役員
- 管業・マン管の試験で設備の科目がワケ分からん状態の受験者の方
- マンション設備の知識を得ることができる。
- 設備の全体像と点検の効用を理解できる。
この記事を読めば、マンションの設備点検の全体像を把握できるようになります。
私含め、マンション役員さんも管理会社フロントも、専門家ではありません。
ですから、事細かいところまで覚える必要はありません。
- どんな設備があるのか
- どんな点検をやってるのか
- なぜそれが必要なのか
これらを理解することで、マンションの適切な維持管理について考えられるようになるでしょう。
それでは、どうぞ!
『マンション設備点検の概要』の結論
簡単に結論をまとめると次のとおりです。
それでは内容について、細かく見ていきましょう。
マンションの設備点検について

点検の種類「法定点検」と「任意点検」
設備点検には2種類あり、「法定点検」と「任意点検」に分かれます。
法定点検 | 任意点検 |
---|---|
・法律上点検する義務がある ・実施しなかったら罰則あり ・点検回数や点検内容まで決まってる ・行政に点検結果を届け出る必要あり | ・実施するかどうかは自由 (点検しなくてもいい) ・点検回数や点検内容は任意 ・届出の必要はない |
このように、マンションの点検の中でも「やらなきゃいけないもの」「やらなくてもいいもの」の2種類に分かれます。
法定点検は「生活するうえで常に万全の態勢にしておかないといけないもの」「不具合があると命にかかわるもの」など、生活する中で非常に重要な設備(特に命に関わる設備)については、法律で強制的に点検をやらせよう、やらないとペナルティがあるよ、というような法律が作られています。
マンションの設備と主な点検内容
一般的なマンションで行われている点検は、おおむね次のとおりです。
法定点検
消防設備点検 【法定点検】

消火器や消火栓、避難器具やサイレンを鳴らす警報装置など、火事が起こった際に「知らせる」「逃げる」「火を消す」設備の点検です。
人命にかかわる重要な設備なので『法定点検』となっています。
エレベーター設備点検 【法定点検】

消火器や消火栓、避難器具やサイレンを鳴らす警報装置など、火事が起こった際に「知らせる」「逃げる」「火を消す」設備。
不具合があった際、エレベーターの挟み込みによる死傷事故や、カゴ内の閉じ込めなどが発生する恐れがあるなど、人を直接乗せる機械のため『法定点検』となっています。
貯水槽清掃・水質検査 【法定点検】

受水槽・高置水槽(水道本管からマンション敷地内に水を貯めておくタンク)があるマンションに限って行う点検作業です。(タンクが無いマンションは対象外)
上水道(飲み水)を安全に供給するため、タンク内の清掃を必ず行うことや、水質が安全に保たれているかを定期的にチェックすることが法律で義務付けられています。
(※清掃作業は正確には「点検」ではありませんが、法律上定期実施が義務付けられているため取り上げています。)
電気設備点検 【法定点検】

キュービクル(高圧電源を引き込んで電気を変圧させる設備)や自家用電気工作物、非常用発電機があるマンションに限って行う点検作業です。
電気が使えなくなると日常生活に非常に支障がありますが、特に大きな電気設備や発電設備の維持には高い専門性が求められます。そのため、電気関係専門の資格者による定期点検を法律で義務付けられています。
建築設備点検 【法定点検】

停電時に必要最低限の照明を焚く非常照明、上水道を供給する水道設備、施設内に新鮮な空気を循環させる換気設備、火災などの際に正常に煙を外に出す排煙設備などをチェックします。
不具合があった際、建物の利用者の命に関わることなので『法定点検』となっています。ですが、店舗や事務所などが入ってない一般的な居住専用のマンションでは「非常照明」のみが点検対象となっているケースが多いです。
空調機定期点検 【法定点検】

改正フロン排出抑制法により、業務用エアコンを設置している施設では、定期点検が義務付けられたため『法定点検』となっています。
ですが、技術者による点検が必要になるのは、一定以上のデカイ空調機に限られ、一般的なマンションに付いているエアコンでは、年4回の外観目視と記録だけでOKで、殆どの管理会社では管理員にやらせてるケースが多いです。
特定建築物定期調査 【法定点検】

マンションの設備ではなく、主に建物そのものをチェックする点検です。
マンション(建物)が建築関係の法律上適法に保立てているかをチェックするための点検で『法定点検』となっています。
防火設備点検(防火対象物定期点検) 【法定点検】

炎を防ぐ防火扉や防火シャッター、煙を防ぐ防煙スクリーンなど、火事が起こった際に確実に起動するかをチェックする点検です。
消防設備点検と同じく、火事が起こった際に確実に家事から居住者を守るため、その機能が万全かどうかをチェックしようという試みから『法定点検』となっています。
ですが、消防設備点検で同じ設備を点検しているにもかかわらず、この点検でも追加でチェックしなければいけないというジレンマを抱えていますが、法律で決まっている以上やらなければ違法とされています。
防火設備点検と防火設備点検の点検内容がかぶってるのは
消防設備点検:消防法 第17条に基づく点検
防火設備点検:建築基準法 第12条に基づく点検
ってなぐあいに、根拠となる法律が違うからだろうね
防火設備点検の点検内容は、消防設備点検の時とほぼ同じことをやってるんだよ。
でも行政側で消防設備点検の報告書を防火設備点検として受け付けてくれないから、マンション側は同じ点検をもう一回しなきゃいけないから、余計に手間と費用が掛かるのよね。
何とかしてほしいわ。
任意点検
給水・排水設備点検

給水ポンプなどの水を送る装置や、地下ピットにたまった水を外に出す排水装置をチェックする点検です。
東京都内など一部行政区では条例で義務付けられてる場合もありますが、飲み水含めた生活用水を送り出す設備なのに、実は点検は任意(やらなくてもいい)だったりします。
機械式駐車場点検

機械式駐車場が正常に動くかどうかをチェックする点検です。
エレベーターのように単純な上下運動のみならず、左右の方向にも動く上、総重量何トンもある大きな車体を、安全に、バランスを崩すことなく、また異常停止することなく動かさなければならない設備です。
ですが、人を載せて動く設備ではないことや、仮に止まったり不具合が出ても、車が使えないだけで特段人の命に関わる事はないことから任意点検となっています。
空調設備点検
これはエアコン、給排気ファンなどをチェックする点検です。
前述の『建築設備点検』で取り上げた「排煙設備点検」は火災時の煙をスムーズに排気できるかを点検しますが、これは単純にエアコン(冷房・暖房・除湿・送風など)の機能や、内廊下でよく設置されている吸排気ファンのメンテナンスを行うものです。
不具合が出た場合、多少生活に支障が出るかもしれませんが、我慢すればどうとでもなるという位置付けからか、
- 費用削減の観点から定期点検すら行っていない
- 壊れたら直す、を繰り返す。
- メンテは年に1回フィルターや排水ドレンの清掃のみ
- 点検は管理員の外観目視だけ
というマンションが多い傾向にあります。
自動ドア点検

特に説明不要でしょうが、エントランス付近に設置されることが多い設備です。
主に扉本体ではなく駆動装置(↑の写真の部分)が正常に動くかどうかをチェックする点検となります。
大抵のマンションでは点検を行っていますが、費用削減のために点検をしないマンションもあるなど、実施有無が分かれる点検です。
宅配ボックス点検
エントランスによくある荷物預かり設備ですね。宅配ボックスの動作、レシートの残量や補充、センサー類のチェックする点検です。
どこのメーカーも点検回数は概ね年2回、それなのに結構な費用が掛かるということで、費用削減のため定期点検を外すマンションもあります。しかし定期点検を外すと、
- 緊急対応でも1出動15,000円
- 不具合時の見積作成でも、現場確認で15,000円
- 工事の工賃で最低15,000円
- 画面操作でコールセンターと通話ができない
- 遠隔解錠ができない
など、かなりサービスが低下します。
逆に定期点検の契約をしてると
- 緊急出動は無料
- 不具合時の見積作成も無料
- 工事の工賃は部品代のみ(作業費は無料)
- コールセンターとの通話が可能(機種による)
- 遠隔解錠できて、コールセンターとのやり取りだけで荷物が取り出せる。
という特典があるため、点検で設備の維持保全をするよりも、これら特典を維持するために定期点検を続けているマンションが多い印象です。
防犯カメラ設備点検
防犯カメラの動作チェックする点検です。
私も何回か点検に立ち会いましたが、正直、何を点検しているかよく分かりません。
防犯カメラはしょっちゅう使うものでもなく、エンジンや戸車など何かを動かすための駆動装置も特にないため、そんなに壊れるものじゃありません。(せいぜいHDDぐらいでしょうか)
ぶっちゃけやる意味のない点検だと思いますので、もし有償で点検を行っているマンションがあれば、金の無駄なので辞めるのが賢明です。
防犯カメラの定期点検なんて、正直お金の無駄だよ!
「やる意味ない」とは言わないけど、お金払ってまでやる意味がホントにあるのか考えよう!
まとめ!
ここまでの内容をまとめてみましょう。
マンションで行われる代表的な点検内容についてまとめると次のとおりです。
それぞれの点検の細かな紹介については、またの機会にご紹介したいと思います。
ではこのへんで。かわぐちろろでした。
かわぐちろろ の【ろろ余談】
一般的なフツーのマンションでも、色んな点検をやってるんですね。