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【知らずに損してる?】マンション保険の強い味方!下手すりゃ訴えられる『個人賠償責任保険』の5つの誤解!

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火災、地震、水害など、マンション保険(マンションの管理組合が加入している損害保険)には色々なプランがありますよね。

それらは「もしも」の時の災害や事故の際に役に立ち、居住者・マンションオーナーの皆さんが一番身近に感じる保険プランだと思います。

しかし、ことマンションにおいては、(幸か不幸か)それらの保険プランは全くと言ってよいほど活用するシーンはありません。

逆に、最も活用するシーンが多い保険プランでありながらも、その効用や認知度がかなり低い保険プランがあります。

それが「個人賠償責任保険」

補償内容がかなり充実している上、コストパフォーマンスも優れている保険プランでありながらも、知名度や認知度が低いためか、あらぬ誤解やもったいない使い方をされているマンションが多く見受けられます。

今回の記事では、その個人賠償責任保険の誤解や活用方法についてご紹介します。

はじめに

居住者さん

下の階に洗濯機から水が漏れちゃったわ
修理費が50万円もするらしいの
どうしたらいいの・・・?

管理会社フロント

大丈夫っすよ居住者さん!保険を使えばある程度修理費をカバーできますよ!

居住者さん

保険?でも私そんな保険入ってないわ・・・

管理会社フロント

大丈夫っすよ。そんなこともあろうかと、マンションの保険でカバーできますよ!
めんどくさい手続きもボクら管理会社が全部やっちゃいますから、心配しないでください!

居住者さん

あらそうなの? じゃあお願いね!

マンションで漏水が起こった際、現場では日常茶飯事でこんなやりとりをしています。

何十年も暮らしていくマンション暮らしの中で、自分の失敗やうっかりで、他の入居者のお部屋や持ち物に傷をつけてしまった、マンションの壁や床を汚してしまった、壊してしまったなどの際に使えます。

しかし、実際事故があった時、マンション管理フロント社員の方やマンション居住者の方は、こんなことで悩ったことはありませんか?

  • どんなシチュエーションで保険が使えるんだろう。
  • 賃借人は管理費を払ってないけど保険は使えるのかな?
  • マンションに住んでないけど、保険料払ってるオーナーは使えるの?

保険の適用条件、摘要範囲について、何年も管理担当フロントをやってる人でも、間違って覚えている人、勘違いしている人が、実は結構な割合でいたりします。

そんな本職の管理担当フロントでも間違うことがあるのですから、保険のことをよく知らない一般の入居者やマンションオーナーなら尚更です。中には―――

ウチで漏水したからマンション保険を使おうと思ったら、理事長から『個人で起こした問題なのに、マンションの保険を使えるか!』って言われて断られた!
こんなのありなの!?

個人賠償責任保険は個人が入るべきもの。マンションの保険につけるもんじゃない。プランから外して少しでも保険料を安くしよう!
節約・節約・節約じゃあ~!

なんて声をチラホラ耳にしたことがあります。

今回の記事は、意外に知られていないマンション保険の「個人賠償責任保険」についてご紹介します。

この記事はこんな人にオススメ

この記事は、個人賠償責任保険について―――

  • 保険の適用範囲や適用条件について曖昧な管理会社のフロント担当の方
  • マンション居住者が漏水事故や破損事故、汚損などを起こして対処をしたことがある(もしくはしている)マンション役員の方
  • マンションの保険料を削減するために個人賠償責任保険を外そうと考えている方

こんな方にオススメです。

  • 個人賠償責任保険の理解が深まる
  • 保険の申請漏れ、保険金の受取漏れなどが無くなる
  • チョットした事故でも保険対応を思いつき、管理組合の持ち出しを少なくできるうえ、修理も進められてきれいなマンションを維持できる

この記事を読めば、マンションでよく起こる事故を「保険事故」として処理できるかどうかをすぐ判断できるようになります。

そうすれば、管理組合にとってムダなお金を使うことなくなりますし、より多くの保険金を受け取ることで、お金の心配をせずに修理や清掃を進められるようになるでしょう。

以前紹介した▼コチラ▼の記事では『マンション保険は使っても保険料が上がらない』とお伝えしました。

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【知らなきゃ損】間違いだらけのマンション保険。アナタの誤解をスッキリ解消!火災・落雷・破裂・爆発・風災・雹災・雪災・水災、そして地震。いざというとき頼りになるのが『火災保険』ですが、マンション総合保険は他の保険とかなり違った特性があることをご存知でしょうか。今回の記事は、そんなマンションの火災保険についてご紹介します。...

どうせ支払う保険料なら、正しい知識を身につけ、より多くの保険金を受け取る方が、マンションにとって良いことだと考え、この記事を書きました。

それでは、どうぞ!

『個人賠償責任保険の4つの誤解』の結論

簡単に結論をまとめると次のとおりです。

  • 【誤解1】マンションの中で起こった事故でなくても対処可能!
  • 【誤解2】居住者なら全員保険を使える対象者。同居家族や賃借人もOK
  • 【誤解3】保険料は意外と安い。個別で入るよりよっぽどオトク!
  • 【誤解4】理事長に保険申請を断る権利は無い
       ※逆に権利妨害で訴えられるリスクあり
  • 【誤解5】個人賠償責任保険は加害者だけでなく被害者を守るための保険

それでは内容について、細かく見ていきましょう。

この記事では、マンション管理組合が加入する保険を全部をひっくるめて「マンション保険」と表現しています。

保険の内容の説明をする際は、保険会社ごとに保険商品名や補償内容を名称まで正確に伝える必要があることは承知してますが、記事の特性上、読まれる方の分かりやすさを重視して、あえて「マンション保険」と表現していることをご了承ください。

マンション保険の個人賠償責任保険について

『個人賠償責任保険』の内容についてご紹介します。

マンション保険の内容についてご紹介します。今回ご紹介する保険の補償内容は▼コチラ▼のパンフレットを参考にしています。

出典:掛捨型マンション総合保険パンフレット(2021年1月版)[PDF]/損保ジャパン

個人賠償責任保険とは?

個人賠償責任保険の補償内容は次のとおりです。

特約ざっくり概要解説
【個人賠償責任特約包括契約に関する特約】
他人に損害を加え、損害賠償責任が生じた際に補償する特約
 ※マンション漏水被害の補償
 ※マンション敷地以外で発生した事故でも補償対象
 ※マンションの賃借人でも補償対象
 ※マンション居住者でなくとも、別居の未婚の子も補償対象

個人賠償責任保険とは、読んで字のごとく
「個人」が誰かに対して「賠償責任」を負った時に使える「保険」

というわけです。

どんな時に使える?

前述のとおり「誰かに損害を加えて賠償責任を負った時」に使えます。

具体的な例を挙げると―――

  • 洗濯機から水を溢れさせ、下の部屋の天井に水シミを付けた
      ⇒ 被害階の天井部分の復旧費用
  • 洗面台から水を溢れさせ、下の部屋の家電や家具が水を被った
      ⇒ 被害階の家電や家具の修理代
       ※修理不可なら時価での再購入費
  • 酔っぱらって帰った時、エレベーターに嘔吐した
      ⇒ エレベーター内の清掃代
  • 自転車でマンションの壁にぶつけて傷を付けた
      ⇒ 壁の補修費用

こういったマンション内でよくある破損、汚損が対象になるほか

  • 自転車で人をひいてケガをさせた
      ⇒ 被害者への賠償金
  • お出かけ中、お店の商品を誤って壊した(汚した)
      ⇒ 商品の弁償費用

こういったマンション以外の場所で起こったことも補償対象になります。

「マンションの保険だから、マンション内で起こったことじゃないと補償されない」って勘違いしてる人が多いけど、(日本国内なら原則)旅行先だろうが買物中だろうが分け隔てなく補償されるよ!
(もちろん細かい例外はあるけどね)

当然のことだけど
 ・わざとやった事(故意)
 ・そうなることが分かってた上で起こった事
 (通常予期できた範囲で発生した過失による事故)
は保険対象外よ!

【誤解1】マンションの中で起こった事故でなくても対処可能!

誰が使えるの?

保険の対象になる人、ならない人(保険用語で「被保険者」といいます。)は次のとおりに区別されます。

【保険対象にならない人】

  1. マンションに住んでいない人
  2. 家族をマンションに残して単身赴任した親
  3. 短期間の滞在で生活の拠点じゃない(仮住まいや一時訪問など)

基本的に「マンションに住んでいない人」は保険対象にはなりません。単に遊びに来た・仮住まいで1週間いるだけ、等の人も「住んでいる」とは言えないので対象外となります。

【保険対象になる人】(被保険者)

  1. 《原則》マンションに住んでいる入居者(家族、賃借人など問わない)
  2. 《例外》実際にマンションに住んでいる区分所有者の家族で、マンション外に住んでいる未婚の親族

逆に、「マンションに住んでいる人」であれば、原則としてオーナーだろうが賃借人だろうが家族だろうが同居人だろうが保険対象になります。

例外として②のように、マンションに住んでいなくても保険対象となる場合があります。具体的には「大学に通うため一人暮らししている大学生の子供」や「上京して一人ぐたししてる社会人の子供」などが当たります。

被保険者かどうかは『マンションに住んでいるかどうか』で判断されるんであって、管理費や保険料を払っているかどうかなんて関係ないんだね!

②はかなりのレアケースだから、予備知識として覚えておくぐらいで良いよ!

【誤解2】居住者なら全員保険を使える対象者。
同居家族や賃借人もOK

どうやったら使えるの?

殆どの場合、このような手続きとなります。

  1. 【被保険者】が保険会社(もしくは代理店)に事故報告
  2. 保険会社に必要書類(写真や修理の見積など)を提出
  3. 保険会社で査定
  4. 保険会社で事故認定されたら保険金請求書を受け取る
  5. 保険金請求書を提出後、指定口座に保険金が入金される

基本的には、保険会社に連絡して、必要な書類や写真を送ったら、審査後保険金を受け取れる、という流れです。

経験上、マンションでの事故処理を行う場合、保険会社でなく管理会社に連絡すると、①~⑤まで全て管理会社で行ってくれるケースが多いよ!
手続きは結構メンドくさいから、管理会社にお任せしちゃおう!

①の欄で【被保険者】の部分を朱色にしてるけど、あとあと大きなキーワードになるから覚えておいてね!

個人賠償責任保険 よくある誤解と大きなリスク!

挫折する老人

ここからは、個人賠償責任保険で『よくある誤解』と、誤解しているゆえに裁判沙汰になりかねない『大きなリスク』についてご紹介します。

保険料削減で個人賠償責任保険をカット! だが・・・

昨今マンション保険がどんどん値上がりし、築年数の古いマンションなどは2倍以上になったというケースを耳にします。

どのマンションも保険料削減のために手を替え品を替え、色々な方策を打っていますが、その中でこんな声をよく耳にします。

個人賠償責任保険は、みんな自分の部屋に掛けてる火災保険で入ってるのが普通だろ。マンションでも保険を掛けたら二重契約になって無駄だから外そう!

個人賠償責任保険は居住者に掛けるもので、マンション自体に保険を掛けてるわけじゃないよね?
管理費ってマンション本体に使うお金なのに、マンションじゃなくて居住者に対して使うのは管理費の使い道として違うから、契約から外すのが筋じゃないの?

「少しでも保険料を削りたい・・・」

その気持ちは十分に分かりますが、こんなリスクが考えられます。

個人賠償責任保険はむしろ割安

ごく一般的な個人賠償責任保険とマンション保険の特約で付ける個人賠償責任保険を比較すると、このようになります。

一般の個人賠償マンション保険付帯
金額面月額200~300円程度月額80~100円程度
被保険者の範囲加入者のみ居住者全員
補償内容右と大差なし左と大差なし
保険金額3000万~1億円
※プランによる
3000万~1億円
※プランによる
※あくまで概ねの水準。保険会社のプランによる

このように、保険料については、スケールメリットを活かせるのか、殆どの場合マンション保険の方が安くなる傾向にあります。

また一般の個人賠償責任保険は「一人ひとり」個別に加入するケースが多い一方、マンション保険付帯の個人賠償責任保険は「マンションに住んでいさえすれば、人数に関わらず全員加入対象」となるので、人数割りすればさらに一人あたりの金額を下がる計算になります。

「節約したい」というのであれば、マンション保険の個人賠償責任保険を外すより、自分たちが今個別加入している保険を見直す方が、よほど節約に寄与するということです。

まるで「安い卵を買うために県外のスーパーに自動車で行く」みたいに、本来の目的と矛盾した行動かもしれないよ!

見かけの割引に惑わされず、広い視点で考えよう!

【誤解3】保険料は意外と安い。
個別で入るよりよっぽどオトク!

保険申請は断れない。断ると訴えられるリスクも!

水を漏らして下の部屋を濡らしたからマンション保険を使いたい、だ?
お前個人が仕出かしたことなのに、何でマンションの保険を使わにゃならんのだ!
そんなのまかりならん!自分の汚点は自分で始末しろ!

今マンション保険を使うと「優良物件割引」が受けられなくなって、次の保険更新の時に保険料が高くなる。
割引を使いたいから保険申請は断らせてもらう!

どうしてワシの判断で断れるのかって?

そりゃ理事長のワシがマンション保険を契約しているからだ!
保険契約者は理事長なんだから、その理事長が保険を使う/使わないの判断ができて当然だろう?

これは、私が担当していたマンションであった実際のやり取りです。

確かに保険契約は「理事長名」で申込を行いますし、マンション管理規約にもこのように規定されています。

第24条(損害保険)

1.区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する。
2.理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。

出典:マンション標準管理規約/国土交通省

【この部分の解説】

建物に対する損害保険を締結しようとする場合、原則として「建物所有者」が保険契約者となります。

しかし、マンションの管理組合は法人ではありませんから、建物所有者は「区分所有者全員」ということになるため、保険契約を結ぼうする際、法律上の原理原則では「区分所有者全員の連名」で契約する必要があります。(保険金請求も同じことが言えます。)

しかしそれではあまりに煩雑なので、管理規約第24条で「保険契約は理事長が全員を代表して契約していいよ」「理事長が全員を代表して保険金請求や受領の手続きをしてもいいよ」という規定がされたわけです。

しかし保険金請求は「保険契約者」でなく『被保険者』が行います。(←ココ重要)

マンション共用部分で発生した保険事故なら、被保険者は建物所有者である「区分所有者全員」となり、その場合、区分所有者を代表して「理事長」が行う手続きとなります。

しかし個人賠償責任保険の場合、「個人」が誰かに対し加えた「損害」「賠償」する「責任」を負った時に適用される「保険」ですので、被保険者は「加害者当人」ということになります。

つまり、個人賠償責任保険の場合、被保険者保険申請する加害者は、保険を申請する権利や保険金を受け取るれっきとした権利があるということです。

対して理事長(含め他の区分所有者)は、個人賠償責任保険における被保険者ではないため、保険申請を拒否することはおろか保険金受け取りを差し止める権限など、どこにもないわけです。

先ほどの会話を振り返ってみましょう。

水を漏らして下の部屋を濡らしたからマンション保険を使いたい、だ?
お前個人が仕出かしたことなのに、何でマンションの保険を使わにゃならんのだ!
そんなのまかりならん!自分の汚点は自分で始末しろ!

今マンション保険を使うと「優良物件割引」が受けられなくなって、次の保険更新の時に保険料が高くなる。
割引を使いたいから保険申請は断らせてもらう!

どうしてワシの判断で断れるのかって?

そりゃ理事長のワシがマンション保険を契約しているからだ!
保険契約者は理事長なんだから、その理事長が保険を使う/使わないの判断ができて当然だろう?

こんなことを言う人は、勘違いも甚だしい主張です。

もしこんなことを強行しようものなら、

何の権利があって邪魔をするんだ!
これ以上邪魔するなら不法行為で訴えて、保険金請求金額に遅延損害金を加えて損賠賠償請求の訴訟を起こすぞゴルァ!!

と言ってくる人が現れかねません。(個人賠償責任保険で申請する金額は、事によれば相当高額(ン百万~千万)にのぼる場合もありますので、訴訟に発展する恐れも十分考えられるレベルです。)

保険金の受取時期によっては『優良物件割引』を受けられなくなるケースがあります。

ですが、割引特典を受けたいがために、一部の居住者の権利行使を阻害するなど有るまじき行為です。

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【最大3割引き!】マンション保険料削減の決定版!『優良物件割引』の抜け道解説!一定期間保険料を受け取らない等の諸条件をクリアすれば保険料が最大3割も割引される「優良物件割引」。実は「保険料を受け取りながらも割引も受ける」という方法があります。今回はその「優良物件割引」の制度と、保険を使い倒しながら同時に割引も受けるテクニックについてご紹介します。...

さすがに「訴えるぞ!」なんて言ってきた人はいないけど、かなり理事会ともめたケースは実際あったよ!

理解不足って怖いわね

【誤解4】理事長に保険申請を断る権利は無い。
逆に権利妨害で訴えられるリスクあり

個人賠償責任保険は、むしろ「被害者保護」

何度もお伝えしているとおり、個人賠償責任保険は「個人」が誰かに対し加えた「損害」「賠償」する「責任」を負った時に適用される「保険」です。

保険金を受け取れる被保険者は「加害者」の方ですので、この保険は「やらかした加害者のための保険」と言えます。

しかし、少し視点を替えると、この保険は「被害者を守るための保険」とも言えるのです。

【とあるケース】

○月▲日、5階に住むAさん(賃借人)は、洗濯機につないだ水道ホースを誤って外してしまい、4階に住むBさん宅の一室に漏水させてしまった。

かなりの漏水量で、復旧には150万円も掛かるという。

しかも不幸なことに、Aさん(賃借人)は個人賠償責任保険に加入しておらず、マンション管理組合でも個人賠償責任保険に加入していなかった

Aさん(賃借人)は、すぐに150万円もの大金を用意することができず、翌週夜逃げしてしまった。

BさんはAさん宅のオーナーCさんに事情を説明し、Bさん宅を修理するよう申し出た。

しかしCさんはBさんに反論した。

「Bさんの部屋の被害は、賃借人Aさんの過失による被害で、C所有の部屋の設備に起因するものではない。よって自分Cには損害賠償する責任は無い。修理を申し出るなら賃借人Aさん本人を見つけて修理を申し入れてくれ。ちなみに居場所は知らん」

そう言われたBさんは―――

このように、加害者が支払い能力がない、または金を出し渋るなどのケースがあった場合、修理や補償に無駄な時間が掛かり、被害を受けた方は肉体的にも精神的にも過度な負担を強いられることになります。

(※漏水被害なら、ずぶぬれの部屋が半年や1年以上も補修されず、その中で生活しなきゃいけない、なんて考えると・・・)

そんなとき個人賠償責任保険に入っていれば、被害額の一部(もしくは全額)を保険会社が払ってくれますので、速やかにトラブルを解決させることができます。これが、個人賠償責任保険が加害者のみならず「被害者を守るための保険」と呼ばれる所以です。

「加害者が責任持って対処すればいい」と言う人がいますが、実際世の中そんなに甘くありません。経った数万円でも払いたくなくて逃げ出す奴はマジでいます。

個人賠償責任保険は、そんなクソな人たちに泣き寝入りするしかない人が出ないよう守ってあげる保険でもあるのです。

ちなみに上の【とあるケース】の場合、被害者Bさんは賃借人Aさんを自力で見つけられない限り、泣き寝入りするしかないだろうね。

見つけても払ってくれるとも限らないし、裁判するにも時間やお金が恐ろしく掛かるだろうし、悲劇の未来しか見えないわね

【誤解5】個人賠償責任保険は加害者だけでなく
被害者を守るための保険

まとめ!

ここまでの内容をまとめてみましょう。

『個人賠償責任保険の5つの誤解』についてまとめると次のとおりです。

  • 【誤解1】マンションの中で起こった事故でなくても対処可能!
  • 【誤解2】居住者なら全員保険を使える対象者。同居家族や賃借人もOK
  • 【誤解3】保険料は意外と安い。個別で入るよりよっぽどオトク!
  • 【誤解4】理事長に保険申請を断る権利は無い
       ※逆に権利妨害で訴えられるリスクあり
  • 【誤解5】個人賠償責任保険は加害者だけでなく被害者を守るための保険

ここまで説明してもなお「個人賠償責任保険なんていらない」と思われる方はいらっしゃらないと思います。

ですが、もしそれでも「この保険を外したい」とおっしゃるのなら、ちゃんとマンションで説明会などを開いて十分に説明をし、総会で合意を取り付けた上で外すことをお勧めします。

ではこのへんで。かわぐちろろでした。

かわぐちろろ の【ろろ余談】

かわぐちろろ

個人賠償責任保険を外すのは、マジでやめた方が良いです。
発生リスクが高い上に被害額も青天井。対してコストは高くないのだから、これこそ入っておくべき保険プランだと個人的には思います。

保険の考え方は人それぞれですが、▼コチラ▼の本が保険の見直しについて大変参考になります。

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