かわぐちろろのロロブログ
マンション管理とアレやコレ
マンション管理ノウハウ

【滞納0%は当たり前】マンション管理費滞納「しない・させない・放っとかない」の現場ノウハウ紹介!

管理会社フロント

ちわーッス! 居住者さん、今月の管理費払ってないッスよね
いつ払えますかね?

居住者さん

えっ!? もうそんな時期・・!
―――えっと、あと1ヶ月待ってくれない?
そうすれば全額払えるから。このとおり!

管理会社フロント

しゃーないッスね。分かりました。
約束ッスよ?理事会の役員さんにもそう伝えますからね

一ヶ月後……

役員さん

ちょっと管理会社さん。管理費滞納してるあの人、全然払ってきてないじゃない。どうなってんの?

管理会社フロント

あれー、おっかっしいなぁ。ちゃんと約束したんスけどねぇ

居住者さん

ククク、作戦どおり・・・。チョロいぜ!

マンション管理の礎となる「管理費」。

マンションの維持のためにマンションのみんなが公平に支払っているお金ですが、たまにこれを支払わない人がいますよね。

もちろん「ついうっかり」という人や「支払いたいけど支払う余裕がない」という切羽詰まった人もいるでしょう。

ですが、中には「払えるけど払わない」「しこたま溜めて、注意されたら払う」というような不届き者が、いて、マンション役員の皆さんや管理会社のフロント担当の人たちは―――

  • 払ってくれるうちはいいが、そのうち払わなくなって長期滞納してしまうんじゃないか。
  • みんな毎月ちゃんと払ってくれるのに、この人も滞納せずちゃんとコンスタントに払ってくれないか。
  • 払ってもまた滞納。払ってもまた滞納。この無限連鎖を解消したい。

こんな思いをした経験がありませんでしょうか。

長期滞納者には、訴訟を起こして取り返す。

教科書的にはこれが正解で、対応方法のセオリーではあります。

だがしかし、中途半端に滞納⇒支払い⇒滞納・・・を繰り返す人には、訴訟を起こすわけにもいきませんので、対処が一番厄介ですよね。

ただ、管理費の滞納は、単に「月の共益費の未払い」という問題に留まらず、金融機関から借入れをする時の利息がUPしたり、売買時に買い手に毛嫌いされて売り辛くなったりと、マンションの資産としての価値にダイレクトに影響する大変大きな問題です。

今回の記事は、そんな長期滞納者の対処要領や、滞納させない方法についてご紹介します。

この記事はこんな人にオススメ

この記事は、こんな方にオススメです。

  • 長期滞納者の対処に悩まれているマンション理事会役員の方
  • 幾度となく振込督促の連絡を繰り返してウンザリしてる管理会社のフロント担当の方
  • 管理費滞納の影響をあまり理解されていない方
  • 管理費滞納のデメリット・マンションの資産への影響を理解できる。
  • 滞納常習者の対処ノウハウを学べ、滞納率0%のマンションになれる。

この記事を読めば、マンションの管理費滞納問題を解決できるでしょう。

また、管理費を滞納し辛いマンション作りができるほか、仮に管理費滞納の常習者が現れたとしても、早いうちから解決できるようになるでしょう。

それでは、どうぞ!

『滞納率0%マンションへの道』の結論

簡単に結論をまとめると次のとおりです。

  • なぜ滞納するのか、理由を理解しよう。
  • 滞納させないルール作りをしよう。
  • 現実的な滞納防止策「遅延損害金の厳格化」
  • 理想の滞納対策「管理費のカード払い」

それでは内容について、細かく見ていきましょう。

『管理費』は舐められている

電気を止められた男

管理費を滞納する原因

誰も好き好んで管理費を滞納しようという人はいません。管理費を滞納する原因は、単純に「お金がないから」です。

会社がつぶれて収入がなくなった・・・

病気で働けなくなり、収入が途絶えてしまった

一般的にはこんな理由を想像されるのではないでしょうか。

ですが、現場レベルでは

夫婦共働き前提でマンションを買ったが、子供ができて妻が働けなくなり家計が苦しくなった

子供の養育費(私立の小学校・大学などの学費にかなりお金が掛かるようになったの

―――っというように、病気や事故など、突然のトラブルに見舞われたための未払いというわけではなく、

当初想定していたライフスタイルが変化し、家計の収支バランスが崩れたことで管理費を支払えなくなった、というケースが多くを占めています。

特に、世帯主一人の収入だけで賄うのではなく、ちょっと背伸びして『夫婦共働き前提』でマンションを購入された方では―――

  • 「子供ができたので、産休で共働きができなくなった」
  • 「子育てするためにフルタイムの仕事ができなくなった」

というぐあいに、お子さんの育児の都合で仕事ができなくなった、パートに切り替えたために収入が減った、という理由が相成り管理費の支払いが滞るケースが、現場の肌感覚として多い気がします。

なぜ「管理費」なのか。管理費を滞納する理由

仕事、家計、病気etcetc、色々な理由で管理費を滞納されている方がいらっしゃいます。

「家計が火の車で支払いたくても支払えない」という状況だと思われますよね。

ですがしかし、こういう管理費を滞納される方は、家計が苦しくとも、電気代やケータイ代、クレジットカードの支払いや住宅ローンなど、他の支払い関係はキッチリしているケースが殆どだったりします。

それはなぜか。それはひとえに

「払わなくても大したペナルティがないから」

に他なりません。

考えてみれば単純なことです。

電気水道ガスなどのライフライン。ケータイやインターネット、電話などの通信機器。

これらは生活になくてはならないもので、滞納すると「強制的に止められる」というペナルティが課されるほか、ケータイやネットの場合だと、自分の信用情報に傷が付く、ヘタをすると契約更新や他社への乗り換えがし辛くなるなどの影響が考えられます。

またクレジットカードや住宅ローンにおいては、信用情報に傷がつくのはもちろんのこと、追加のカード発行、ローンの借り換え等のできなくなることがあります。

更に住宅ローンに至っては、ローンの支払いが滞ると、借入先から抵当権を行使され、住んでるマンションを強制競売されるなど、恐ろしい強権力をすぐに行使されるなど、取り返しのつかないペナルティが発生します。

住宅ローンは1回でも支払いが滞ったら黄色信号

2回連続支払えなかったら強制競売――って話だよ!

銀行は冗談抜きで手が早いから、ローンの未払いだけは気をつけようね

反面、管理費はというと―――

  • 3~4ヶ月滞納しても、特に生活に影響はない。
    (払わなくても、そのまま何事もなく住み続けられる)
  • 「管理費を払え」と言ってくるのは、せいぜい腰の低い管理会社かマンション役員。
  • ゆるい督促(怖いお兄ちゃんが来ることもない)
  • テキトーな事を言ってれば追い払えるしどうとでもなる。正直チョロい
  • 裁判を起こすにも金と手間が掛かるから、よほど滞納を溜めこまない限りマンション側が裁判を起こすことはない。

―――っというように、管理費は

  • 払わなくてもペナルティがない
  • 払えなくても、どうとでもやり過ごせる
  • 払える時に払えばいい

という位置付けのものと思われがちなところがあり、全てにおいて優先度が低く設定されている傾向にあります。

管理費を払わせる仕組み作り

あらゆる債務関係で舐められた位置付けにある管理費。

  • 払わなくてもペナルティがない
  • 払えなくても、どうとでもやり過ごせる
  • 払える時に払えばいい

と思われがちの管理費ですが、それを毎月きちんと支払わせる方法がいくつかありますのでご紹介します。

共用設備の使用制限・強制解約

共用設備とは「自転車置場」や「駐車場」「トランクルーム」のことを指します。

これらは(部屋付きの使用区画のケースを除いて)、殆どのマンションでは、使いたい人がマンション管理組合と使用契約を結び、『月額いくら』という料金を払い、管理費と一緒に支払う形式を取っています。

それら使用料は管理費と共に支払われるわけですから、管理費が滞納になれば、必然的にそれら使用料も支払いされず滞納となります。

そこで『管理費を●ヶ月滞納したら、駐車場や自転車置場などの共用設備の契約があれば強制解約する』といった管理規約(使用細則)を作る、または契約書にその内容を盛り込むことをお勧めします。

具体的にはこのような内容です。

理事長は、駐車場使用者が管理費等、使用料その他の管理組合へ納入すべき費用の納入を2ヶ月以上滞納している場合において、その支払いの催告後14日以内にその全額が支払われないとき、直ちに駐車場使用契約を解除することができる。

出典:中高層共同住宅使用細則モデル 駐車場使用細則より一部引用

平たく言えば

「駐車場の使用料を払えるぐらいなら、先に溜まった管理費を払え」

ということですね。

強制解約?そんなの無視して居直りしてりゃいいんだよ。

次のボーナスの時に溜まった管理費を支払えば文句ないだろう

―――っというふうに、強制解約となったところで車をどけず、そのまま居直りする輩もいるでしょう。

そんな時のことを想定し、このような規定を設けることをお勧めします。

当該区画の使用者は、駐車場使用契約満了日までに、当該車両を速やかに適正な駐車位置に移動させなければならない。

駐車場使用契約満了後もなお適正な駐車位置に移動していない場合、理事長は、使用者及び契約者に対し、次の措置を取ることができ、使用者及び契約者はそれを承認する。

  • 従前の駐車場使用契約の満了日から、移動が確認された日までの期間において、使用者及び契約者に対し、従前の駐車場使用料と同額に加え、違約金として同使用料の●%を加えた金銭を請求すること。
  • 車両移動の催告後14日以内に当該車両が適正な駐車位置に移動しない場合、当該車両を処分すること。
  • 当該車両の処分に要した費用及び本件にかかる諸費用等を、全額使用者及び契約者に対し請求すること。

つまり平たく言えば―――、

  • 強制解約後も車を動かさなかったら、その期間の駐車場使用料も取るよ。
  • もちろん違約金として使用料を割り増しするよ。
  • 注意して2週間しても移動しなかったら、強制的に車を廃車にするよ
  • もちろん処分代はアナタもちね。

こんな悪魔のような規定を設け、かなり強いペナルティを設ける方法があります。

自動車はローンで購入することが多いですが、その場合、所有権が「車の使用者」でなく「ローン会社(信販会社)」の場合があります

それを知らずに勝手に撤去すると、マンション管理組合側は、車の使用者と併せてローン会社とも戦わなければならず、かなり面倒なことになりかねません。

参考:放置自動車を撤去するには?所有アパートや敷地に無断駐車されないための予防対策

使用料・違約金の請求だけならまだしも、撤去の規定は、あくまで「これだけデカいペナルティがあるから滞納するなよ」という牽制として考えましょう。

そうはいいつつも、放置車両の撤去サービスがあったりします。

トラブル対応のための弁護士サービスも付いてるみたいだし、もし本当に放置車両に悩んでたら相談してみるのもいいかもね

遅延損害金の厳格化

管理費を滞納した場合『遅延損害金』を請求できる規定があります。

第60条(管理費等の徴収)

第2項
組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用等を加算して、その組合員に対して請求することができる。

出典:マンション標準管理規約(単棟型)/国土交通省

しかし、実際に滞納があっても、この遅延損害金が請求されることはほぼなく、規定自体が有名無実となり果てているという実態があります。

対して滞納者側もその実情を分かっていて、「どうせ遅延損害金なんか請求されることはない」と高をくくり、平気で管理費を滞納している。

つまり、「『遅延損害金』の規定が、滞納のブレーキ機能を果たしていない」というわけです。

―――であれば『滞納したら漏れなく遅延損害金を取る』ということをルール化し、滞納者には容赦なく請求を断行することで

支払いが遅れたら余計に管理費を払わなきゃいけない
だったら絶対毎月払わなきゃ!

という意識を根付かせ、滞納防止を図ることが非常に効果的です。

「遅延損害金の年利計算が複雑で、請求対応がしきれない!」と思ったなら、遅延損害金の規定を「年利○%」じゃなくて「1ヶ月遅れるごとに○円加算」というふうに単純化してもいいだろうね!

その際に「遅延損害金の算出を単純化させたら、年利計算より違約金が少なくなる」っていう意見が出るかもしれないけど、年利計算は支払日が1日ずれるだけでも請求金額が変わってくるから、1円単位で『過払い』『未払い』が発生して、清算がすっッッごく面倒なんだよ。

こんなルール、余計なトラブルを生むだけだと思わない?

忘れないで! そもそもの目的が『遅延損害金で儲けを出すこと』じゃなくて『滞納を発生させないこと』だよ!

管理費のカード払い

管理費は一般的に『口座振替』または『振込』で支払いがされていますが、それをクレジットカード払いにすることで、滞納発生率をかなり減らすことが期待できます

管理費をクレジットカードで支払うようになれば―――

  • 本人の支払い有無に関係なく、カード会社からマンション側へ管理費が支払われるので、マンション側は管理費の滞納リスクが減らすことができる
  • 滞納となったら自分の信用情報に傷がつくので、心理的に滞納予防となる
  • 仮に滞納になったら、カード会社が督促するので、マンション側の督促の手間が省ける

具体的にはこんなメリットが生まれます。

「滞納対策」という面では、管理費のカード払いは理想の姿です。

しかし、『管理費のカード決済』は、一見メリットだらけに見えますが、反面デメリットがあるほか、導入するにも高いハードルがあります。

管理費カード決済のデメリット・導入ハードル

  • 管理費を引落す時の手数料が高い
  • 対応するクレジットカードが少ない
  • 対応するクレジットカードに入会できない
    (カードに提携してるディベロッパー限定など)
  • カードに年会費が掛かる
  • マンションの管理規約を『支払方法をカード払い可』と変更する必要がある

ごく一部の大手ディベロッパー系管理会社[Link]を除き)殆どのマンションでは、管理費のカード払いに対応しておらず、まだまだ口座振替や振込でしか対応していないのが現状。

カード会社はもちろんのこと、管理会社やマンション側もそれに併せた体制を整える必要があるので、導入ハードルはかなり高いでしょう。

ってかそれ以前に

「そもそも滞納癖があるような人がカード払いを選択するか?」

ってことが一番悩ましいだろうね。

まとめ!

ここまでの内容をまとめてみましょう。

『管理費滞納0%への道』についてまとめると次のとおりです。

  • なぜ滞納するのか、理由を理解しよう。
  • 滞納させないルール作りをしよう。
  • 現実的な滞納防止策「遅延損害金の厳格化」
  • 理想の滞納対策「管理費のカード払い」

これまでご紹介したとおり、管理費の滞納は『滞納してもペナルティがない(少ない)』という心理的なゆるみが原因にあります。

ですので、滞納対策は―――

滞納したらヤバイ

という意識をマンション全員に根付かせることにあり、滞納した時のデメリット、ペナルティを全員に意識付けすることから始めることにあります。

管理費の滞納に困ってるマンションがあればお役立て下さい。

ではこのへんで。かわぐちろろでした。

かわぐちろろ の【ろろ余談】

かわぐちろろ

本来なら「管理費を払うことのメリット」を前面に打ち出して、支払を訴求するのが理想的なんですが、なかなか難しいですよねぇ・・・