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【収益最大化!】マンションの携帯アンテナ・外部駐車場収入などの税金を爆下げする方法を紹介!

上がって喜ぶ男性

管理会社フロント

ケータイ会社さんから「マンションの屋上にアンテナ立てたい」って連絡がありました。どーしましょうかね?

居住者さん

あら、いいじゃない。アンテナ立てたらお金がもらえるんでしょ?
最近なにかと支出が増えてるし、マンションとしてすごく助かるじゃない

管理会社フロント

そうッスね。アンテナ設置料でいくらかお金がもらえます。
ですけど収入を受け取ると「税金」がかかりますし、税務署に毎年「確定申告」しなきゃいけませんし、かなり手間が増えますよ。

居住者さん

えっ? 管理組合なのに税金が掛かるの?
確定申告って、もちろん管理会社さんやってくれるんでしょ?

管理会社フロント

「税理士法」で禁止されてますから管理会社じゃできません。
役員さんが直接できなくもないですが、お金掛かりますけど税理士に頼むこともできますよ。

居住者さん

収入があっても、税金やら税理士さんへのお金やらかかるのね。
結局アンテナ立てるのと立てないのと、どっちが得するのかしら・・・?

「お金あげるんでマンションの屋上にケータイ基地局(アンテナ)を建てませんか?」

docomo、KDDI、Softbankのほか、楽天モバイル、UQWimaxなどの大手通信事業者から、工事代理店を通じてマンション管理会社に(または直接管理組合に)こういったお誘いが来ることがあります。

こういったケータイ基地局アンテナを立てた際、ケータイ業者から「ケータイ基地局設置料」として月額いくらのお金を貰えるのが一般的。

マンションの持て余していた敷地がお金に替わるわけですから、ただでさえ収入元に乏しいマンション側としては、まさに濡れ手に粟、棚からぼた餅といった案件です。

ですが、外部から収入を得た際、税金を納めなければならないのが社会のルール

もちろんマンション管理組合もその例に漏れず、2010年代後半あたりから税務署の縛りがきつくなったせいもあり、ケータイ基地局を設置しているマンションでは、税務手続き(確定申告など)を行っています。

そのケータイ基地局などの外部収入を得ているマンション、またはこれからそれを行おうとするマンションでは、こんなやりとりをしてませんか?

  • 税金や税理士への委託料がどれくらいかかるか分からない
  • 収入が増えるのはいいが、税金や税理士への委託料を考えると、結局どれくらい収入が増えるか分からない
  • アンテナを立てても経費や税金で相殺されて収入が±0(または微々たるもの)なら、手間が増える分やるメリットがないんじゃないか。

管理会社に他のマンションでの事例を聞いてみても、

管理会社的には1円の儲けにもならないうえ、逆に手間だけ増えることになりかねませんから

管理会社フロント

我々は管理会社なんで、税金の計算はできませんよ~
他のマンションでアンテナ立ててるところがありますが、あんまり儲かってないみたいですねぇ
細かく計算できませんが、アンテナ立ててもそんなにお金残らないと思いますよ
確定申告やら総会決議やらが必要ですし、やるメリットあまりないんじゃないですか?

―――ってな事を言って煙に巻くケースがあるとよく聞きます。

そんなことはありません。

上手く節税対策をすれば、管理費や駐車場使用料に代わる第三の収入の柱として添えることができます。

しかし、殆どのマンションでは節税対策をしておらず、かなり高い税金を払っているのが現状。

これは非常にもったいない!!

―――っというわけで今回の記事は、マンションのアンテナ設置料や外部駐車場などの収入に対する節税対策についてご紹介します。

この記事はこんな人にオススメ

この記事は、こんな方にオススメです。

  • ケータイ基地局アンテナ外部への駐車場サブリースなどの設置を検討中の理事会役員の方
  • 既にケータイ基地局アンテナ・駐車場サブリースを運営中のマンション
  • 税務申告方法や税金・税理士依頼について検討している理事会
  • 税務関係で質問を受けているマンション管理会社フロント担当の方
  • 外部収入の税金を減らせてマンションの収入を増やせる!
  • 既に支払った税金も一部取り返せる!
  • 大まかな税金の額や税理士報酬の水準が分かる!

この記事を読めば、これから払う税金(払おうとしている税金)を極限まで減らし、自分たちマンションの収入枠を増やすことができます。

それでは、どうぞ!

『マンションの税金爆下げ方法』の結論

簡単に結論をまとめると次のとおりです。

  • マンションの税金の仕組みを理解しよう。
  • マンションの支出構成から経費を出そう。

それでは内容について、細かく見ていきましょう。

マンションの税金爆下げ方法について

マンションにかかる税金

一般的なマンション管理組合の収入には「管理費」「駐車場使用料」「自転車置場使用料」「トランクルーム使用料」「集会室使用料」などがあります。

ですが、それらに税金は掛かりません。

もともと『税金が掛かる/掛からない』の区別は、次のように付けられます。

  1. 継続して行われていること
  2. 事業場を設けて行われていること
  3. その取引が政令で定める34事業に該当すること

これら3点が全て該当していれば『収益事業』とみなされ、税金を支払う義務が生じます。

法人税法 第二条

十三 収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。

出典:e-GOV 法令検索「法人税法」

「アンテナ基地局設置料」「外部への駐車場サブリース報酬」「自動販売機設置料」などは、前述①~③に思いっきり該当するので、『収益事業』とみなされ税金を支払う義務があるわけです。

『政令で定める35事業』で、マンションに関係ありそうな事業は次のとおり。

  • 不動産貸付業
    携帯基地局設置収入駐車場サブリース収入
    自動販売機設置収入、電柱設置収入、送電線下補償金収入、
    公衆電話設置収入、ケーブルテレビ設置収入
    インターネット設備設置収入、カーシェアリング収入
  • 製造業 太陽光発電による電力売却収入
  • 物品貸付業 管理組合備品のレンタル収入
  • 貸席業 管理組合の外部への会議室使用収入
  • 旅館業 ゲストルーム宿泊料収入
  • 駐車場業 駐車場収入
  • 遊戯所業 プール・スタジオ等の使用料収入

[参考] e-GOV 法令検索「法人税法施行令 第五条関連」

ちなみに、マンション管理組合と区分所有者間での取引となっている管理費や駐車場使用料などは、いずれも「不課税」(元から税金が掛からない対象)となります。

管理費・修繕積立金

  • 管理組合という地域自治会が、その自治会の構成員を対象として行う共済的な事業であること。

駐車場・トランクルーム・会議室などの使用料

  • 駐車場使用料等は、区分所有者が所有している共用物たる駐車場の敷地を特別に利用したことによる「管理費の割増金」と考えられること。
  • その収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合に置いて運営費(管理費)又は修繕積立金の一部に充当されていること。

税金の計算対象

税金はおおまかに『所得に対して●%』という計算がされます。

ただし、ここでいう所得とは、

収入金額-経費=所得

このような考え方となり、「収入金額」ではなく「利益(儲けた部分)」を指します。

※厳密には、様々な税額控除等を計算した上で所得を算出しますが、今回は分かりやすく「収入額から経費を除いた金額が所得=税額の計算対象」とします。

税金の大まかな額

そうはいっても税金の計算は複雑で、単純に「所得×○%」と単純に出せるものじゃありません。

かといって専門家(税理士など)に相談すれば、それだけでお金が掛かりますし、管理会社でもそこまでの力量はありません。(あったとしてもやらないでしょう。)

そんなときには、このサイトが非常に参考になります。

この中で「マンション管理組合の収益事業税額シミュレーション」というツールがあり、ここで大まかな税金を算出することができます。(※使い方は次のとおり)

収益事業税額シミュレーション

仮にこのようなマンションがあったとします。

Aマンション管理組合
 アンテナ設置料:月額25,000円(年額300,000円)

この計算ツールでは、Aマンションの税金はこのようになります。

Aマンション管理組合の税金の概算
 アンテナ設置料:月額25,000円(年額300,000円)
 経費計上   :なし
  ↓
 1年目:税額 計137,000円(年間+163,000円の純利益)
 2年目:税額 計133,400円(年間+166,600円の純利益)

「税金」と一言で言っても、

  • 法人税
  • 地方法人税
  • 法人住民税(法人税割)
  • 法人住民税(均等割)
  • 事業税
  • 地方法人特別税

など、色んな税金が掛かるよ!

ざっくり半分弱くらい税金で取られるのね・・・

税理士に依頼する場合の費用

納税をするには、確定申告をしなければなりません。

ですが、個人事業主の方や会社経営の方ならいざしらず、一般のサラリーマンは確定申告に不慣れな方が多いと思います。中には一度もしたことがない人もいるのではないでしょうか。

そんな中、自分ではなく「マンション管理組合」の税務申告をするにあたり、確定申告書を正確に作成するのはなかなかハードルが高く、多くのマンションでは税理士事務所にその業務をお願いしているケースが多いです。

相場としては概ねこのようになっています。

税理士事務所にマンション収益事業の税務申告を依頼する場合

【依頼内容】

  • 収益額等の精査
  • 申告書の作成
  • 税務署等への申告書提出
  • 納付税額の積算
  • 納付書の作成
  • その他税務署等からの問い合わせ対応

【金額】概ね 税抜き7万円~12万円

  ※初年度のみ諸手続きによる追加費用あり(だいたい+1~2万円程)
  ※マンションの規模により金額変動あり

税理士事務所の中には、「書類の作成はするが税務署への提出はしない」「書類を作るだけで税務署からの問合せ窓口にはならない」「数字は出すが書類は作らない」など、業務内容にかなりばらつきや差があるケースや、業務内容に応じて金額が増減するケースがあり一概には言えませんが、概ねの業務をやってもらえる内容での金額レンジは、大体このくらいになります。

さっきのAマンションの場合、アンテナ収入の純利益から税理士依頼料をひいたら殆ど手元に残らないね。

税引後の収入:166,000円
税理士委託料:120,000円(仮に)
手元に残る金: 46,000円

さっきのAマンションの場合、アンテナ収入の純利益から税理士依頼料をひいたら殆ど手元に残らないね。

税引後の収入:166,000円
税理士委託料:120,000円(仮に)
手元に残る金: 46,000円

「デカいアンテナを立てても、年間46,000円増しかない」と考えると、今後収益事業として継続するかどうか微妙なところね・・・。

税務申告を自分たちで行うとなると・・・

そんなもん、管理会社にタダでやらせりゃいいじゃないか!
頑張れば自分たちでできるんだったら、管理会社でもできるだろ

そう思われるかもしれません。

ですが、「税理士以外の第三者が、本人に代わって税務申告することを禁止する」という規定が税理士法にあり、管理会社が代わって税務手続きをすることが禁じられています。

税理士法は、一定の場合を除いて、税理士・税理士法人でない者が税理士業務を行うことについても禁止しています

引用:税理士法違反行為Q&A

自分たちでやれば一番安上がりですが、書類の作成や税金の計算はかなりの専門的な知識が必要になる上、実際の税務申告、税金の納付所るの作成手続きも行うとなると、個人で行うにはかなりハードルが高いと考えられます。

しかも、それが輪番で毎年変わる役員が持ち回りで行うことも含めて考えると、ノウハウの継承はかなり難しいと思われます。

やってやれないことはないでしょうが、自分たちで全て行うのは現実的ではないので、あまりお勧めしません。

税金爆下げのための考え方

先ほどご紹介したとおり、税金の計算方法はこの「所得」に応じて計算されます。

収入金額-経費=所得

所得が多いと、自ずと税金は高くなり、所得が少ないと、自ずと税金は少なくなります。

手元に残る収入金額(アンテナ基地局の設置料など)を最大化するには、所得をより少なくする―――

つまり『経費をより多く計上すること』が、収入の最大化のポイントとなります。

マンションの支出科目内での『経費』とは

『経費』とは、一般的にこのような考え方をします。

経費とは、事業を行い、収入を得るためにかける費用のことをいいます。
仕入れなど収入を得るために直接要した費用や管理などにおいて業務上かかった費用に分けられます。

「経費で落とす」という言葉は経費として計上することを意味する言葉であり、収入を得るために使った支出以外は経費にはなりません。

引用元:「経費で落とす」とはどういうことか?/J’sNAVI NEO

つまり「収入を得るために、そのものに当てたお金」を指します。

では、それをマンションの各支出科目に当てはめた場合、『経費計上できるもの』をリストアップしていくと、次のとおりに考えられます。

アンテナ基地局設置料収入での経費(例)

  • 清掃費(アンテナ周りの日常清掃)
  • 水道料(アンテナ周りの清掃の時に使う水道)
  • 電気代(アンテナ運営のための電気代)
  • 管理委託費
     ・事務管理業務費(管理会社による日常的な事務手続き等)
     ・管理員業務費(管理員による日常点検・外観目視)

駐車場サブリース収入での経費(例)

  • 清掃費(駐車場周りの日常清掃や日常清掃)
  • 水道料(駐車場周りの清掃の時に使う水道)
  • 電気代(駐車場を動かすための電気代)
  • 管理委託費
     ・事務管理業務費(管理会社による日常的な事務手続き等)
     ・管理員業務費(管理員による日常点検・外観目視)
     ・駐車場点検費(駐車場の定期点検費)
  • 修繕費(駐車場を修理した際の工事費)

これらは「収入源(アンテナや駐車場)を維持するために支出した費用」と考えられるため、『経費』として計上できると考えられます。

【注意!】

清掃費や管理委託費は、その支出額の全額をアンテナや駐車場のために使ったわけではありませんので、全額経費計上することはできません

アンテナであれば「延べ床面積のうちのアンテナ設置面積分(%)」。駐車場であれば「全区画数のうちのサブリース使用区画分」というふうに、使用割合を掛け算して計算しましょう。

正確な数字は出せないものでも、「こういう根拠で計算した」っていう、誰もが納得できるであろう計算をすることが必要だよ!

でないと『経費水増し』ってことになりかねないから要注意!

例を出すとこんなカンジ

実際に例を作ってみました。

Aマンション管理組合

  • アンテナ収入:月額25,000円(年額300,000円)
  • 延べ床面積:10,000㎡
  • アンテナ用貸出面積:35㎡(全体の0.35%)

損益計算書から経費を算出

損益計算書の税務計算

Aマンション管理組合の税金の概算
 アンテナ設置料:月額25,000円(年額300,000円)
 経費計上   :148,499円
  ↓
 1年目:税額 計103,400円(年間+196,600円の純利益)
 2年目:税額 計101,900円(年間+198,100円の純利益)

経費計上しなかった場合
 アンテナ設置料:月額25,000円(年額300,000円)
 経費計上   :なし
  ↓
 1年目:税額 計137,000円(年間+163,000円の純利益)
 2年目:税額 計133,400円(年間+166,600円の純利益)

年額300,000円と収入額が少ないマンションを例に出しましたが、それでも経費計上する/しないとでは差額が30,000円以上出てくることが分かります。

今回はアンテナ収入を例に出して経費計上をしましたので、「延べ床面積当たりの貸出割合」はかなり少なくなりましたが、『駐車場のサブリース』となると、貸出面積がかなり広くなるので、経費計上できる金額もそれだけ大きくなることが期待できます。

マンションの計上や貸出スペースによっては、最大5割もの税金を削減できたケースもあります。

経費計算をまともにしていないマンションがあったら、ぜひとも取り入れましょう!

経費計上の考え方は、税理士の先生でも人によって考え方が違ってくる場合があるよ!

大切なのが「ちゃんと経費計上した根拠を説明できること」だよ!
税務署から聞かれたときにちゃんと論理的に答えられるよう準備をしておこうね!

まとめ!

ここまでの内容をまとめてみましょう。

マンションの税金爆下げ方法についてまとめると次のとおりです。

  • マンションの税金の仕組みを理解しよう。
  • マンションの支出構成から経費を出そう。

最低賃金の値上げなどの人件費高騰、物価上昇、法改正による維持コスト(点検費など)の増加により、昔に比べかなり支出増となっている昨今、支出の見直し・削減を行うことは必要ですが、やはりそれには限界があります。

マンションは企業体と違い、新規事業を行うことは極めて難しく、収入元は限られていますので、限られた収入減をいかに最大化するかが、マンション運営において非常に大切なこととなってきます。

削減額が小さくても、多少の手間が掛かっても、マンションの支出の最適化のため、手間を惜しまず取り組みましょう。

ではこのへんで。かわぐちろろでした。

かわぐちろろ の【ろろ余談】

かわぐちろろ

今回の記事の作成には▼コチラ▼の本を参考にしました。

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